両親ともに教員でした。
ちなみに、祖母と祖父、父方の叔父、叔母も教師でした。
母方の祖父の弟も教師でした。
(ちなみに平成の大横綱「千代の富士」は教え子だったそうです)
そんな私はもちろん将来は教師になるものだと親戚一同思っていたそうです。
長男&初孫!
誰もが私もその道を継ぐと考えるのは自然な事だったのかもしれません。
しかし、ひねくれものの私は教師にはなりませんでした。
大学で教職を取る事さえしませんでした。
理由は簡単です。
父と母の仕事ぶりを見ていたらとてもじゃないけどやりたい!とは到底思えなかったんですよね。
毎日大変なおもいで生徒の指導にあたり、時間外労働は当たり前!
休日も生徒やその保護者の為に自分の時間を無償で使い続ける姿を目の当たりにしてきましたから・・・
結果的に全く異なる職業についておりますが、今では両親以上に大変な思いをしているから面白いものです。
会社社長という立場上、時間外労働なんて概念もありませんし、休日はもっぱらお付き合いで終わります。
勤務時間外はほぼお付き合いばかりでしょうか?
両親のようになりたくなくて今の道に進んだのに・・・
皮肉な話です。
そんな私がここ数年教壇に立つようになったんです。
これも不思議な話です。
きっかけは4年前です。
私のお客様に学校の先生をしている方がいらっしゃいました。
その方は中学校の社会科の先生でした。
ある日「よかったら学校行事に参加いただけませんか?」と突然のオファーをいただいたんです。
話を聞くと、その中学校では毎年2月にスキー教室のイベントが開催されていました。
もちろん私も中学生の時には参加したものです。
しかし、その年はインフルエンザの流行を懸念する親から反対があり中止になったんだそうです。
そこで学校側は、校内で職業体験イベントを開催することにしました。
様々な職業の方々を学校へ招き、中学生に体験してもらうイベントでした。
もちろん「ぜひ協力させてください!」とお返事をして学校でのイベントに従業員と参加をしました。
その後、会社のブログにそのことを書いたんです。
すると・・・
市内の多くの中学校から毎年のように問い合わせが来るようになります。
スケジュールが合わずお断りするケースもありますが非常に喜ばしいことです。
そして今年、市内の中学校から正式なオファーをいただき今回もしっかりと職業体験授業を行ってきました。
場所は西谷中学校!
この日はお店を従業員に任せ、私と担当セールス、そして16年来のお付き合いがある他店舗で働いてる友人にお手伝いいただき授業を行ってきました。
生徒さんに案内されて教室に入る時、いつも思うのは「結局教壇に立つんだな俺も・・・」という妙な納得感でしょうかね?
職業体験授業で私が必ず初めに行う作業は「名刺配り」です。
中学生とは言え、この時ばかりは社会人になるための勉強です。
名刺なんてもらう機会もまだないことでしょう。
そんな彼らに一枚一枚私の名刺を配ります。
生まれて初めて受け取る名刺が私のものというのも光栄な事だったりもします。
みんな恥ずかしそうにしながら受け取ってくれました。
その後は私自身が作成したオリジナルのテキストを使いながら30分ほど講義を行います。
難しい話をしても中学生にはわかりません。
そこで、ネットニュースになっているような自動車関係の話題を中心に話をしていきます。
みんな真剣に聞いてくれて本当にありがたかったですね。
講義のあとは、学校の中庭をお借りして実際に私たちが日々行っている作業風景の実演を行いました。
友人が立派なサービスカーを借りてきてくれて実演を一生懸命やってくれました。
初めてみる機械、作業工程に子供達の興味はますます湧いてきますね。
その後は用意した様々なタイヤを触らせました。
日常的によく目にするタイヤですが、実際に裸のタイヤを持ち上げたりしたことがある人間はあまり多くないでしょう。
基本的には我々のような専門店に全てお任せするのが一般的ですしね。
また、昔は公園に行けば地面に半分埋まったタイヤが遊具として存在していました。
馬飛びをしたり思いっきり飛び跳ねたりしたものです。
しかし、今ではそんな公園も皆無でしょうか?
ますます、タイヤに触れる機会がない現代の子供達!
初めて触って持ち上げて・・・とても貴重な体験になったと思います。
普通であればここで体験授業は終わるのでしょうが、私はこう見えてスパルタです!
社用車を使って生徒さん全員にタイヤの付け替え作業も体験してもらいました。
中学2年生であればきちんと教えれば出来るものです。
ひとりひとり丁寧に指導しながら30分かけて全員に体験してもらうことが出来ました。
みんな思いのほか上手に出来ていて、数年後アルバイトとして採用したくらい器用な子もいましたね。
最後にもう一度教室に戻り質疑応答です。
毎回ですが必ず出る質問があります。
「この仕事はお給料はいいですか?」
こんな時私は必ず正直に答えるようにしています。
「頑張れば給与が良くなるよ!」とか「やり方次第だよ!」なんていい加減な話をしたところで、中学生には到底わからないものです。
「20代は年収250~350万」「30代は400~450万」「50代は500万程度」の年収と答えました。
また、うちのような小さな会社では退職金などは雀の涙程度だということも伝えました。
そしてこうも言いまいした。
「将来豊かな暮らしがしたければそれなりの企業に就職しなさい!」
「自分のやりたいことで飯を食える人間なんてほとんどいません!」
「お給料をしっかり欲しければとにかく勉強と健康な体作りを今から行いなさい!」
「中学校~高校の6年間が本当に大切です!」と・・・
他にも「なんでこの仕事してるんですか?」とか「この仕事って楽しいですか?」とか「車が好きなんですか?」なんて質問も必ず出ましたね。
もちろん全て正直に話しました。
「やりたくてやってるわけではない!」「楽しいことなんて仕事以外でいくらでも作れるから仕事は楽しくなくていい!」「車なんて好きでなくても成立する仕事!」
こんな感じで答えるとみんな「え~」なんて顔をしますね。
でも嘘をついたりきれいごとを並べるのは好きではないので仕方ありません。
それでも必ずこうも言います!
「好きな仕事じゃないけど、楽しいい仕事じゃないけど、間違いなく誰かの役には立っている仕事です!そして社会の為にもなっています!それだけが唯一のモチベーションです!」と・・・
こうして2.5時間にわたる体験授業は今回も無事に終了しました。
毎回こうしたイベントに参加することで改めて自分の仕事について色々と考えさせられたりもします。
また、これからの日本を背負う若い子達に少しでも真面目に働くというきっかけが与えられたらうれしいですね。
ところで先日、父と母にこんな活動をしてると話したら意外な答えが返ってきました。
「あんたは学校の先生に向いてないよきっと」「今の職業が天職じゃないかい」と・・・
色々と考えさせられます。本当に。