一生懸命の習慣化

「いつも楽しそうに一生懸命お仕事されていて羨ましい!」

「車が本当にお好きなんですね?」

「まさに天職!憧れます」

私がよく言われる言葉です。

 

残念ながら誰かに言われるたびにこう言い返したくなります!

「今の仕事本当に嫌で嫌で仕方がないんですけど・・・・」

 

 

ハッキリ言って今の仕事が楽しいと思ったことはありません。

お客様の喜ぶ顔を見たり、困りごとを解決できればそれなりのやりがいは感じますが、仕事内容、職種については私がやりたいこととは正反対です。

 

以前も書きましたが、幼いころから料理が好きで将来は料理人になるのが夢でした。

小学一年生から台所に立たされ、共働きの両親の代わりに家族のご飯を作りました。

中学生の時にはほぼ毎日炊事をしていた記憶があります。

高校生になると飲食店でアルバイトを始めました。

その後、数々のアルバイトをしましたが飲食にかかわる仕事が圧倒的に多かったです。

大学卒業と同時に飲食の世界に正社員として飛び込みました。

しかし、結婚・出産・子育てなどの家庭の事情により今の仕事に就くことになったのが22年前・・・

義理父の経営する会社に迎えてもらい日々車をいじる毎日が始まります。

免許は持っていたものの、会社に入るまでボンネットすら開けたことがないほど車には無関心でした。

そんな私がある日突然車をいじる仕事に!

この罰ゲームとも思える仕事に、毎日のように嫌気がさしていました。

 

毎日見たことのない車と工具を目の前にし、聞いたこともない専門用語が飛び交う職場。

慣れるまで5年くらいはかかりましたね。

それでも一生懸命仕事はしたんです。

昔からプラモデルもろくに作れなかったですし、小学校の図工の授業で椅子を作っても自分のだけ傾いて座ったら簡単に壊れたり、中学の技術の授業でラジオを作っても自分だけなぜか鳴らなかったり・・・挙句の果てには、新しいゲーム機を購入しても、TVとうまく接続できないほど不器用な私がお金を稼ぐ為にはとにかくがむしゃらにやるしかありませんでした。

 

目の前の与えられた仕事にとにかく日々一生懸命取り組むだけ!

不器用で上手くいかない事ばかり、時間も他の従業員の倍以上かかってもとにかく一生懸命さだけは忘れないよう心掛けました。

毎日家に帰った時、カミさんや幼い子供の目を見て「今日親父は一生懸命働いたぞ!」と胸を張れるよう仕事しました。

亡くなった妹の写真も時々見ては「俺は大丈夫!頑張ってるから!」と心の中でつぶやきながら自分を鼓舞してきました。

 

人間という生き物はとても面白いものです。

そんな自分を日々追い込むようなことをしていると、いつの間にかそれが習慣化されるんですから・・・

あまりに自分を追い込み過ぎて33歳の時に「鬱」になりましたが、一度身につけた習慣は簡単には元に戻らないものです。

「一生懸命の習慣化」「高い当たり前レベル」なんて言葉を自己啓発セミナーや本でよく見聞きしますが、まさにそのことなんだろうと今は思います。

 

おかげさまで義理父のあとを継ぎ、いまは社長職として日々頑張れています。

また、趣味も新しいことを始めるのにも一生懸命取り組めます。

過去の習慣が今の自分を作り上げてくれたのは間違いありません。

 

それでも今の仕事を心の底から「楽しい!最高に素晴らしい!」と思ったことは残念ながらいまだにありません。

やりたくない事でも一生懸命やる習慣のみが身に付いただけでしょう。

その姿を見てお褒めの言葉をいただけているから皮肉な話でもあります。

 

逆に!!

車が大好きでこの業界に飛び込んだ人間が私は羨ましくて仕方がありません。

好きな車を毎日お世話できるなんて・・・本当に幸せな事でしょう。

料理好きな私が毎日様々な食材を使えるのと同じ感覚のはずです。

しかし!!

相変わらずこの業界の離職率は非常に高いです。

私のところの従業員も楽しく仕事をしているようにはあまり見えません。

それはなぜか!!

一生懸命やらないからなんでしょうね。

なんでも本気で取り組めば出来るようになるものです。

なんでも一生懸命やれば誰かに認めてもらえるものです。

しかし、そのことが分かるまでには5年~10年はかかるでしょう。

そのことに気が付く前にみんなギブアップしてしまうんです。

だから一生懸命取り組む習慣を身につけることが何より大切だと私は自分に言い聞かせています。

 

今は趣味の草野球とピアノをとにかく一生懸命やっています。

なかなか上達しないので何度もくじけそうになりますが、私には嫌な仕事を一生懸命やることが出来る能力がある程度身に付いています。

極論を言うと、嫌なことが一生懸命できない人間が、好きな事を一生懸命取り組めるはずはありません。

 

これからも泥臭く「一生懸命」何事にも取り組もうと思った深夜2時でした。

なんか今少しだけ自己肯定感が上がった気がしました。