ここ数年商売に関する相談を本当に多く受けます。
私自身、小売業に携わって22年!
経営者として5年!
それなりに経験を積んではきましたが、人に偉そうに意見するほどの人間ではありません。
それでも何とか商売を続けられているので、それなりに立派に見られるのでしょうか?
私自身、商売人には決して向いていないと常々思っておりますし、まだまだ経験不足は否めません。
だから多くの方から相談を受けることに戸惑いすら感じてしまいます。
40歳を過ぎると皆さん「そろそろ独立しようかな」なんて考える方が多くなるのでしょうか?
自分のこれまで培ってきた知識や技術で勝負したい!と思うのはある程度の年齢になれば自然な事なのかもしれません。
先日、取引先でもある自動車関係の会社に勤める後輩から相談を受けました。
その昔、私がスーパー銭湯でアルバイトをしてる時に出会った2つ歳下の後輩です。
彼の実家はスーパーエリート!
弁護士でもあり、不動産関係のビジネスを展開している立派なご両親のもとで育ちました。
そんな彼はもちろん頭のいい人間です。
しかし!彼は自動車に興味がありすぎて、両親の反対を押しのけ自動車整備の専門学校へ進みます。
そこで整備士資格を取得!
しかも1級整備士&検査員の資格まで簡単に取りました。
その後は特殊な車両を扱う会社へ入社!
抜群の頭の良さと、技術力を生かしてその業界ではそれなりに活躍していました。
しかし10年前、社長と仲たがいをしてしまい先輩従業員と2名で独立!
裸一貫で再スタートを切りました。
最初はなかなかお客さんがつかず苦労していましたが、今ではかなりの業績を上げているようです。
もちろん今でもビジネスパートナーとして月に数回取引も行っています。
そんな彼がいよいよ独立に向けて動き出しました。
先日「不安で仕方がないので相談に乗ってください」と言われ、仕事終わりに近くのファミレスで合流しました。
40を過ぎたオッサン二人がファミレスで真面目な話をしている様は滑稽だったかもしれませんね。
彼の話を聞けば聞くほど背中を押してあげたくなりました。
ビジョン、志、やりたいことと出来ることが非常に明確でした。
後は事業計画をきちんと数字化できるか?
銀行へ行き融資を受けられるか?
これにかかってるという話をしました。
(偉そうに言える人間ではありませんが、この時ばかりは先輩ずらしましたね)
彼は最後に「よし!これで踏ん切りがつきました!俺やりますよ!」と言ってくれました。
その時の目を見たらきっと彼なら間違いなくやっていけるであろうと確信しましたね。
もちろんこれからも応援していこうと思いますし、力になれることがあれば仕事を振ったりサポートをしたりするつもりです。
それとは別にこんな相談も受けました。
「パン屋&カフェをやろうと思うのですが・・・」
38歳の飲み屋で出会った友人です。
彼はIT系の会社でシステム構築の仕事を10年ほどしています。
3年前には結婚し、1歳の子供もおります。
そんな彼からお店を出したい!と相談を受けました。
これまた行きつけの飲み屋で話を聞いたのですが、この時ばかりは猛反対をしました。
まず、彼がお店を出したい理由!
それが「自分のペースで仕事が出来て家族のそばにいられるから!ゆくゆくは家族で経営が出来そうだから!」
その彼に開店資金はいくら用意してあるのかと私は聞きました。
無借金で始められてしばらく赤字でも家族が生活に困らないくらいの貯蓄があれば問題はないんです。
しかし、彼から返ってきた言葉は「100万円」
今ある貯蓄を全て叩いてお店をやりたい!と意気込んでいました。
もちろん、彼に調理の経験はなく飲食店での経験もありません。
ましてやパンを作ったこともないそうです。
さらに話を詳しく聴くと、どうやら奥様が趣味で時々パンを焼いているんだとか・・・
お店の規模、家賃、開店資金、仕入先、損益分岐点などはどこまで考えているのか?尋ねたところ「なにそれ」という感じでしたね。
まず、客数10名ほどのカフェを始めるためには30~50万円ほどあれば開店は出来るでしょう。
次に、料理やコーヒーも見よう見まねでやればなんとかなるでしょう。
しかし、そこからさらに収益を上げなければ生活は成り立ちません。
家賃に10万かかったとして月の売り上げは単純に計算しても25万は無いと維持できません。
さらにそこから自分の給料を取るとなれば50万以上の売り上げが必要になるはずです。
客数10名ほどのお店で25日営業して50万の売り上げを上げるには毎日2万ほど稼がないといけませんね。
しかし、カフェの客単価なんて所詮1000円~1500円です。
毎日15〜18名ほどのお客さんをコンスタントに呼び込むためにはそれなりの付加価値が無いと難しいでしょう。
立地がいい!コーヒーが美味しい!パンがとてもうまい!
その辺の素人が始めて上手くいく可能性などまず低いわけです。
飲食店を開業してからの生存率は、2年で50%、3年で30%、10年で10%と言われています
多くの方が比較的簡単に始められる業種でもありますが、それで生計を立てていくことの難しさを理解していないと必ず失敗しますね。
だから私は彼の夢を壊すようで悪いですが、反対をしました。
彼も「じゃ~もう少しきちんと考えてみる!」なんて言っていましたがどうなる事やら・・・です。
実は同じような相談をずいぶん多くの方にされてきました。
ある女性からは「のほほ~んとした雰囲気のこじんまりしたカフェを田舎でやりたい!」とか、「からあげが流行っているから始めてみたい!」とか、「家を改築してお店を開きたい」とか・・・
皆さん夢があるのは本当にいいことです。
出来れば応援してあげたいとも思います。
でもビジネスはおままごとではないんです。
きちんとした事業計画はもちろん、潤沢な資金力、そして何よりお客様を呼べる圧倒的な強みのある商品やサービス!
それらがきちんと考えられない方は正直失敗することが多いと思います。
自分が思い描いたように上手くいく人なんて本当は1~2%でしょう。
私も数年以内にお店を出すことを目標にしています。
事業計画書もお店のコンセプトもきちんと書面で残しています。
後は開店資金!
私が始めたいお店には1000万円ほどの開店資金がかかります。
もちろんメインバンクにも日々相談をしていますし、物件もリサーチを欠かしません。
でもそれは本業がしっかり機能しているから出来ることでしょう。
いまだに踏ん切りがつかず足踏みをしていますが、絶対に夢を叶えるつもりです。
その為にはまずは今の仕事でますます結果を残す必要があるんです。
商売はおままごとでは絶対に成立しません。
これだけは経営者として、元飲食店で働いた身として強く言いたいのです。