ワンコイン野球メイキングス戦

末っ子の夏が無事終わった翌日。

私が代表を務めるワンコイン野球の対外試合がありました。

この日の対戦相手は非常に特別なチームです。

 

 

横浜メイキングス

神奈川県横浜市を活動拠点とする障がい者野球チームです。

障がい程度や有無、年齢、性別を問わず、みなが楽しんでプレーしているようです。

きっかけは私の友人でした。

 

 

以前も書きましたが、少年野球チームの代表を務めております。

その前代表が友人です。

ちょっとした不祥事で代表を辞任し私にその役目が回ってきたのですが、今でも仲良くしています。

先日のワンコイン野球の試合では主審をかって出てくれました。

実は友人の息子は発達障がいがあります。

現在は特別支援学校へ通う高校生です。

少年野球チームを卒団後、すぐに横浜メイキングスに入団して野球を続けていました。

そんな友人から先日こんな申し出を受けたんです。

「うちのチームと練習試合をやってくれないか?」

 

障がい者野球チームはまだその存在を知られていません。

横浜メイキングスはOBも含めると100名以上がメンバーとしています。

しかし、健常者のチームと関わる機会があまりないのが現実です。

それゆえに、試合をする場合はいつも別の障がい者野球チームばかり。

健常者のチームと試合なんて今までできなかったそうです。

そんな時私のワンコイン野球チームを彼は知りました。

 

私のチームはチーム名はおろか、名簿もありません。

ユニフォームももちろんありません。

活動日を人伝えに聞いたメンバー達が500円を支払い、毎回適当に野球を楽しんでいる素人集団です。

ですが、時々行う試合では先日のように多くの人が参加してくれています。

そんな適当なチームだからこそメイキングスも声を掛けやすかったのかもしれませんね。

 

早速メンバーに横浜メイキングス戦のスケジュールを伝えました。

しかし!

この日は連休最終日。

メンバーそれぞれが仕事や家族サービスもあることでしょう。

この日は集まりが悪く、当初は6名ほどしか集まりませんでした。

試合自体が危ぶまれましたが、それでも何とかするのが私の仕事です。

まずは末っ子にバイト代を払い参加してもらいました。

前日まで真剣勝負の場にいた人間には厳しいオファーだったかもしれません。

次に少年野球チームの監督とコーチに声を掛けました。

趣旨を話すと快く引き受けてくれました。

後はチームの連絡係の友人とチームメイトの息子さん&友人である中学生が2名参加してくれまして、気が付いたら13名が揃いました。

 

 

試合は19時からでしたが、まずは17時よりメイキングスが練習を始めるということでしたので、我々も早めに行って一緒に練習に参加することにしました。

初めて触れ合う障がい者野球チームの人達。

小学生から高校生、大人まで幅広い人たちがお揃いにユニフォームで我々を出迎えてくれました。

まずはアップからです。

きちんと活動しているチームです。

我々のお遊び野球とは違い、アップもしっかりとしたものでした。

暑かったこともありますが、この時点でわがチームのメンバー達はすでにバテバテです。

その後はキャッチボールを行いました。

片手が使えない選手、足にマヒがある選手、走ることが出来ない選手、知的障がいがありコミュニケーションが上手く取れない選手、無意識に体が勝手に動いてしまう選手などが大勢いましたが、キャッチボールが始まればそんなことは関係ありません。

みんな器用にボールを投げたり取ったりしていました。

なかには非常に強い球を投げる選手もいて本当に驚きましたね。

左手が不自由な選手なんて、右手にはめたグローブで捕球しグローブを脇に挟んだ後すぐにボールを握って強い球を返球します。

その昔、メジャーリーガーでジム・アボットという片手でプレーする選手が注目を集めていましたが、まさにプレースタイルはそのものでした。

キャッチボールのあとはノックです。

外野・内野に分かれてそれぞれがノックを受けました。

この時内野のノックを担当してくれたのは我がチームの頼れるメンバーです。

野球経験者で少年野球も指導しているのでノックが本当に上手いです。

メイキングスの選手たちもいつもとは違うノッカーに困惑しながらも、一生懸命プレーしていました。

私は外野ノックに参加したのですが、ここでも選手たちの身体能力の高さに驚くばかりです。

肩が強い選手、捕球が上手な選手がいて見習いたいくらいでした。

 

19時からは試合を行いました。

私の友人であるK氏がいつものように主審を務めてくれて試合は始まりました。

 

 

この日私は1番センターで出場しました。

相手ピッチャーは左足にマヒのある選手です。

右投げですので左足で踏ん張れなければ上手く投げることは難しいはずでしょう。

しかし、コントロールよく強い投を投げていました。

球速はそれほど速くないですが力強い球でした。

手加減はしなくて良いと言われたので、我がチームは全員でフルスイングをしていきます。

相手のエラーやフォアボールなどもありまして、前半で一気に10点をリードします。

しかし、メイキングスも黙っていません。

こちらのエラーを足掛かりに連続ヒットで3点を返してきました。

打者が2巡したころからは、メイキングスは小学生を打席に送ってきました。

身体にマヒがある小さな子達ですが一生懸命バットを振ってきます。

ここでは優しい球を投げて打たせてあげましたが、それなりに強い打球が飛びグランドは大盛り上がりにもなりました。

結果は15-3 ワンコイン野球チームの勝利です。

最後は気持ちよく挨拶をして互いの健闘を称え合いました。

 

 

ワンコイン野球を結成して3年目に入りましたが、この日が実は対外試合初勝利です。

初勝利の相手がメイキングスだったこと、一生の記憶に残ることでしょう。

本当にいい体験が出来ました。

 

 

以前もお話ししましたが、両親は養護教諭でした。

幼いころから障がいのある方々に囲まれて育ちました。

両親からは常々「障がいのある人を特別扱いしてはいけない!一人の人間として接すること!もちろん困っていれば助けてあげないといけないが、相手が望んでいる以上の介助は必要ない!」と教わってきました。

介助や手助けの仕方がよく分かっていない素人がやみくもに手を出すことはかえって相手に迷惑をかけることもあります。

普通の方以上に障がいのある方への理解はあるつもりでいました。

しかし、今回横浜メイキングスとこうして触れ合ってみて私の考え方は少し変わりました。

やはり健常者と障がい者は同じフィールドでは活動出来ません。

誰もが生活しやすく、活動しやすい世の中を目指す必要があることはわかりますが、その理想全てを叶えることなんてやはり不可能です。

私たちに出来ることは、きちんと相手を理解をしたうえでなるべくこちらから歩み寄り、同じフィールドで活動できる配慮をするべきなのでしょう。

障がい者の方々の野球をやりたい!という思いは我々と変わりません。

しかし、そこには絶対的に大きなハードルが存在します。

だからこそ、我々が歩み寄り、サポートをし、ともに楽しめる工夫をしなければいけないでしょう。

今回の交流を通じてあらためてそのことを強く感じました。

せっかくいただいた素晴らしい機会です。

今後も交流を深めていければと思います。