18-0

18-0

死ぬまで忘れることのない試合スコアでしょう!

 

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今年の春から末っ子がお世話になった少年野球チームの代表を務めていることは以前もお話したと思います。

友人でもあった前代表が諸事情により突然の辞任。

ただでさえ人数が少ないチームですので私がやらざるを得ないという事情もありましたし、末っ子が今日まで野球を一生懸命続けられているのもこのチームのおかげですので、恩返しの気持ちもあり就任いたしました。

前から説明しているように私は野球未経験者です。

ただ、観戦するのだけはプロ並みなので野球にはちょっとだけうるさいわけです。

そんな私が昨年から本格的な野球に挑戦しました。

自分でやり始めたことで余計に野球にうるさくなっているところもございます。

なので少年野球チームの代表として時間があれば子供たちに野球を教えているわけです。

しかし、自分がやるのとやらせるのとでは訳が違います。

ましてや小学生の理解力も身体能力も乏しい子供たちに野球をさせるのは本当に大変です。

おかげさまで我がチームには3名のベテランコーチがおりますので、私は日々サポート役に徹するだけです。

それはそれで楽しかったりもするので最近では子供たちと一緒に泥だらけになりながら白球を追いかけています。

そんな矢先、とんでもない事態が起こりました。

 

数日前、いつものように仕事をしているとチームの監督からこんな電話が入りました。

「急で申し訳ないんだけど、明日練習試合が入った!誰も同行できないから監督頼むね!」

どうやら以前から練習試合を申し込んでいたチームから急遽OKの返事が来たようです。

しかし、あまりにも急だったため、その日はベテランコーチが参加できず背に腹は代えられないという事で私に白羽の矢が立ったんですね。

もちろん、監督なんてものはやったことはありません。

試合でベンチに入ったことは数回ありますが、選手たちにサインや指示も出したこともありません。

そんな私にはたして務まるのか?

しかし、せっかく組まれた練習試合を放棄するのは子供たちに申し訳ないです。

仕方がないので「何とかやってみます!」と引き受けることにしました。

 

メンタルの弱い私は、前日の夜からとにかく緊張しまくりです。

食事もあまり取れず、酒を飲んで寝ようとしましたが全くと言っていいほど寝られませんでした。

そして迎えた当日!

練習試合が行われる相手チームの活動拠点でもある小学校へ向かいました。

仕事を抜けて行ったため、子供たちとは現地で合流しました。

子供たちは久しぶりの練習試合に目を輝かせています。

その時一人の子が異変に気が付いてこう言いました!

「代表しかいないじゃん!今日監督誰やるの?」

その言葉に思わずドキッとしたのは言うまでもありません。

監督とコーチはこの日、私が代行することを子供たちに伝えていなかったんです。

「今日は俺がやるんだよ!」と言うと全員黙ってしまいました。

明らかにいつもとは違う雰囲気で試合が行われることに私と子供たちに不安がよぎり始めます。

 

試合まで30分ほど時間がありましたのですぐにアップを始めさせましたが、子供たちにいつものような元気がこの日はなぜかありません。

元気よくやるように指示を出すべきだったのですが、緊張のあまりジーっと見守るしかありませんでした。

とにかく落ち着かない状態のまま気が付いたら試合開始の時刻です。

マネージャーにメンバー表を手渡され、相手チームの監督とメンバー交換&挨拶をしました。

これも初めての経験です。

 

結局訳の分からいまま試合が始まってしまいます。

我がチームは先行でした。

先発は当然我がチームのエース。(ピッチャーが出来る子は2~3人しかいませんが)

序盤から快調に飛ばしてくれて初回を三者凡退。

いい感じでした。

問題は裏の攻撃でしょう。

少年野球は基本的に一球一球子供たちにサインを出します。

しかし!!

私はサインなど出したことはありません。

しかもサインの出し方をきちんと理解していなかったので試合直前に教わったほどです。

とりあえず見様見真似でサインを出しましたが、子供たちは「?」という顔でバッターボックスに立ち尽くします。

「打て」「バント」「待て」などの細かなサインをきちんと出せないせいでしょう。

こちらも三者凡退でした。

 

その裏もエースが好投!三者凡退!

しかし、裏の攻撃もサインをハッキリ出せなかったおかげで全く打てません。

すると3回の表、エースが突如崩れます。

フォアボールとエラーが重なり次々と失点してしまいました。

こんな時、励ますような気の利いた声をかけるべきだったんでしょうが、私はただただボ~と立ちすくむだけでした。

何とか3つのアウトを取ってベンチに戻ってきた子供たちに気の利いた言葉もかけられず「がんばろ~」というのが精一杯でしたね。

その後も相変わらず得点を奪えず、エラーと失点を重ねます。

エースが球数制限の80球に到達したので交代をすることになりました。

しかし、今度は交代の仕方が分かりません。

マネージャーにやり方を聞いて何とか選手交代を済ませました。

しかし、代わったピッチャーが大乱調です。

フォアボールを連発しエラーも重なり1イニング9失点!!

結局5回まで試合を行って18-0で大敗を喫したわけです。

 

試合後、子供たちの暗い表情を見れば見るほど申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

何もできなかった自分と、気持ちよくプレーをさせてあげられなかったことにただただ落ち込むばかりです。

その後仕事に戻りましたが、何とも言えない気持ちで業務を続けていました。

やはり慣れないことはやるものではありませんね。

 

その夜、監督と2人で反省会を行いました。

落ち込む自分を励ましてくれると思いきや「ここ数年で一番ひどい試合だったよ!」と傷口をえぐられ、お酒がまた進んだのは言うまでもありません。

 

翌日、チームの練習が行われている小学校へ顔を出しました。

子供たちを集め昨日の反省を行いたかったからです。

開口一番私は子供たちに「昨日はごめん!何もしてあげられなかった!」と謝罪をしました。

その様子を見ていた監督やコーチ保護者には「あれは謝罪会見だね」とからかわれましたね。

 

こんな感じで初めての監督業は大失敗に終わったわけです。

野球は大好きなのに!

試合だって何百回と見てきたのに!

自身で野球も始めてみたのに!

まさに「知っていることとできることは違う!」という事でしょう。

 

来月には6年生にとっての最終戦があります。

私はもちろん監督は出来ません。

しかし、悪いものは全て出し切ったので有終の美を飾ってくれることと思います。

私は陰から応援することにします。