いよいよ末っ子の高校野球夏の大会3回戦の日となりました。
公立高校のごくごく普通の野球部です。
部員数はマネージャーも含めて26人ほど。
スター選手がいるわけでも、ものすごく凄腕の監督がいるわけでもありません。
毎年1回戦か2回戦で姿を消すようなチームです。
しかし、今年は対戦相手に恵まれたこともあり、2012年以来10年ぶりの3回戦進出!
野球部はもちろん、学校もそれなりに盛り上がっておりました。
もちろん保護者達も大盛り上がりです。
ちょっとしたお祭り状態で、連日保護者LINEが賑わっておりました。
そんな3回戦を前にちょっとした問題が発生します。
差し入れのドリンクをどう調達するか?
1回戦、2回戦ともに2年生の保護者がスーパーやコンビニで差し入れ用のドリンクを持ち寄りました。
今年はブラスバンド部・ダンス部がスタンドで応援してくれたので、用意する本数も例年以上に多くなっています。
さらに選手達、監督、OBの分を合わせると300本近い本数を用意する必要がありました。
さらに問題なのが、夏の炎天下で行われている大会です。
しっかりと冷えたものを300本用意する必要があったんです。
この日、ドリンクの準備は私達夫婦が引き受けることになりました。
早速近くのスーパーに「キンキンに冷えたペットボトルを300本用意したのですが・・・」と問い合わせをしました。
しかし「そのようなご要望にはお応えできません!」と断られてしまったんです。
300本のペットボトルをケースごと冷やしておけるような設備はない!とのことでした。
仕方がないので他のスーパーやコンビニにも声を掛けましたが、すべて断られました。
それもそのはず!
後で知ったのですが現在、6月末の猛暑の影響で商品が欠品しているそうです。
ただでさえ少ない在庫品を一個人に大量に販売するわけにはいかないのでしょう。
とりあえず冷えていないペットボトルを購入して、自宅で冷やすことを考えましたが、冷蔵庫に入り切るわけもありませんし、物理的に不可能です。
カミさんは大変困惑していましたが、私には一人頼れる人間がいます。
先日のブログにも書きましたが、幼稚園の時に出会ったパパ友のT氏です。
パパ友の中心的な存在を果たしたあのT氏です。
実はT氏、大手飲料メーカーに30年以上お勤めです。
私は迷うことなくT氏に電話をしました。
「300本のキンキンに冷えた飲み物を当日早朝に引き取りたい!」と短い言葉で伝えました。
するとすぐ折り返します!と言われました。
その40分後T氏から電話があり「大丈夫ですよ!お任せください!」と返事が返ってきたんです。
その代わり「私を当日の朝、会社の営業所まで乗っけて行ってください」と言われました。
そして迎えた当日、朝6時にT氏の自宅までお迎えにあがり、新横浜にある営業所まで一緒に行きました。
営業所に着くと冷えたドリンクが300本きちんと用意されていましたね。
さらに「これ保護者会の皆さんでどうぞ!」と100本以上のおまけまで用意してくれました。
さらにさらに!
ぬるくなったらいけないので!と大量の氷までいただきまして・・・
「末っ子君!応援してますよ~」と言われ、私のマイカーに大量のドリンクは積み込まれたわけです。
お礼を言って我々夫婦は急いで球場へ向かいました。
向かう途中、ドリンクを少しでも冷えた状態で届けられるよう、カーエアコンをガンガンに効かせます。
長袖でも寒いくらい冷やしていたので、現地に着くころには体が完全に冷え切ってしまいました。
この日の会場は「横須賀スタジアム」です。
私の応援する横浜DeNAベイスターズの2軍の本拠地でもあります。
末っ子が幼い頃にはよく2軍の試合を観に連れて行った思い出の場所ですね。
また、新体操をやっている娘は横須賀の高校でしたので、横須賀スタジアムの隣にある北体育館は週に3~4回は練習で使っていた場所です。
毎晩遅くまで練習に励んでいたので、毎日のようにカミさんが迎えに行っていました。
そんな、ゆかりの地を久しぶりに訪れました。
試合は10時からです。
2時間前の8時に父兄が続々と集まりました。
試合への緊張感と期待感が否が応でも高まります。
3回戦の相手は強豪私立高校です。
実は末っ子が高校を選ぶ際に、野球部が有名なので見学に一緒に行った学校でもあります。
しかも!!
ここの学校には私の大学時代の同級生が教員として勤めています。
わたしとカミさんの結婚式にも参列してくれるほど仲の良かった男です。
大学を卒業してからは疎遠になってしまっていましたが、学校見学に行った際20年ぶりの再会を果たすことが出来ました。
お互いに歳を取ったもんだ!と感じた瞬間でしたね。
さらに、先月まで当店の担当セールスだった男はこちらの野球部出身者です。
ワンコイン野球や早朝野球でいつも行動を共にしている野球仲間でもあります。
色々な縁を感じた中、試合は始まりました。
7月16日(土) 横須賀スタジアム 3回戦
試合開始からポツリポツリと雨が降り始めます。
この日の予報は1日雨でした。
試合の開催自体が心配されるなかではありますが、どうやら試合は行われるようです。
40分前にスタンドに入りまして、車の中で大切に冷やされていたペットボトルを関係者みんなに配りました。
雨が降っていて涼しかったので、キンキンに冷えた飲み物は必要なかったのかもしれませんが、無事に配れてカミさんが一番ホッとしていましたね。
試合前のシートノックを見ていましたが、さすがは強豪校です。
それまで対戦した相手とは明らかにレベルが違います。
思わず保護者達からも「こりゃー難しいな~」と弱音が出始めます。
試合は我が校の先行で始まりました。
初回は相手ピッチャーの前に3者凡退。
その裏いきなり先制されます。
続く2回もあっさり点を取られ、早くも強豪校の実力を見せつけられました。
3回以降は互いにランナーは出すものの得点がなく、膠着状態が続きます。
すると5回でした。
我がチームはキャプテンのフォアボールを足掛かりに1点を返します。
この時点でスコアは3-1!
まだまだ分かりません。
しかし、ここからものすごく強い雨が降り出します。
その裏の守備の時には観客全員が傘をささないといけないほど雨が強くなりました。
この時一番大変だったのはブラスバンド部でしょう。
2週間後にコンクールを控えていて、本体であれば練習をしなければいけない大切な時期です。
でも10年ぶりの3回戦へ進出した野球部の為にこの日はみんなが気持ちよく集まってくれていたんです。
この雨で楽器が濡れてしまうと、これからの練習はおろか、コンクールにも影響が出かねません。
楽器を避難させたり、タオルで保護したり、傘で濡れないようにして必死に演奏を続けてくれました。
雨がさらに強くなった6回。
ボールが滑ってきたのか、エースが突如乱れます。
荒れたマウンドに足を取られるような場面もあり、非常に投げにくそうでした。
フォアボール、死球、パスボールで6点を奪われてしまいました。
何度もタイムをかけて落ち着きを取り戻そうとしていましたが、土砂降りの雨を前にもはや修正がきかない状態だったと思います。
そのごますます雨が強くなり9-1、6回ツーアウトから試合は一時中断となりました。
土砂降りの雨の中、コンコースの屋根のある場所に観客は避難します。
そういえば昨年の1回戦もこんな中断がありまして・・・
雨に祟られている我が高校なのかもしれません。
1時間ほど経つと、傘をささなくても良い程度の小降りになりました。
グランド整備が急いで行われ、試合は開始されるようです。
1時間の中断後2アウト2・3塁から試合は再開されました。
気持ちを切り替えたのかエースはこの回を何とかしのぎ3アウトを取りました。
この時点で8点差です。
7回まで点差が変わらないとコールド負けになってしまいます。
我が校は7回意地を見せます。
ここで3点以上取らなければコールド負けです。
1アウトから主将がフォアボールで出塁し、反撃のきっかけを作ります。
続くバッターは今大会のラッキーボーイの2年生。
背番号8番の末っ子にかわりセンターに入って絶好調の子です。
しかし、残念ながら凡退。
打順は8番バッターに周ります。
するとネクストバッターサークルに末っ子が準備を始めました。
どうやら次の打席で代打出場となるようです。
最後のバッターが塁に出てくれれば末っ子に打席が回ってきそうです。
しかし!
最後のバッターは三振で試合は終了となってしまいました。
終わってみれば9-1、7回コールド負けです。
突然の雨、降雨中断があり本来の力が出せなかったのかもしれませんが、条件は相手も同じです。
やはり強豪校の落ち着いた試合運び、状況をきちんと把握したプレーと緻密な作戦の前には為す術がなかったでしょう。
相手高校の校歌を静かに聴きながら今年の夏は終了しました。
3年生にとっては最後の大会です。
この日をもって「引退」となります。
後片付けをして球場の外で選手たちを保護者は待ちました。
全員悔しそうな顔で出てくるであろう!
きっと涙が止まらないだろう!
そんな彼らにどんな声を掛けてあげればいいのか?
いろいろ詮索しながら彼らが出てくるのをただただ待ちました。
しかし!
親の心配をよそに、彼らは笑顔で非常に清々しい表情で我々の前に現われました。
もちろん悔しさもあると思いますが、10年ぶりに3回戦まで行けたこと、強豪校と試合が出来たこと、途中まではいい戦いが出来たこと、それらが彼らには非常に嬉しいことだったんでしょうね。
主将の「応援ありがとうございました!」という掛け声の時はみんな笑顔でした。
その後保護者会長があいさつをしてくれましたが、保護者会長が途中声が詰まる場面がありましたね。
思うところがたくさんある3年間だったんでしょう。
こうして末っ子の夏は静かに終わりました。
4月に肩を壊して以来、コンディションが上がらず本来のプレーが出来ないなかで大きな大会を迎えてしまったことへの悔しさはきっとあると思います。
それでもこの後は末っ子の代が始まります。
最後の1年間。
4歳から始めた野球の集大成の年になるでしょう。
悔いのないよう頑張って欲しいですし、親として最大限のサポートをあらためてしていこうと決意した一日でした。