2回戦

ばあちゃんの火葬を終えた翌日、末っ子の2回戦がありました。

二日前、初戦を見事に勝利し迎えた2回戦です。

 

 

この日の球場は藤沢市八部球場。

湘南の海に近い球場です。

この日は2試合目でした。

朝から雨の予報が出ておりまして、試合の開催自体が危ぶまれましたが、とりあえず選手・保護者は現地へ向かいます。

現地に到着すると1試合目が少し遅れて開始されていました。

途中ポツポツ雨が降ってきましたが、何とか試合は行われそうです。

この日もブラスバンド部&ダンス部が駆けつけてくれて250人くらいの学校関係者が集まりました。

 

カミさんは応援に駆けつけてくれた生徒さん、OB、関係者に差し入れを配るのに大忙しです。

娘の高校時代、インターハイ出場でさんざん鍛えられた人です。

保護者の連携、関係者への気配りなどなど・・・

いきなり仕切り始めて他の保護者を圧倒する姿にちょっとだけ驚きました。

昔から控えめで人前で率先して何かをやるようなタイプではなかったんですが、子供が3人も生まれ、それぞれスポーツに取り組んでいると自然とこうなるのでしょう。

 

試合は1時間遅れで始まりました。

相手も公立高校!

全くデータはありませんが、部員数は17名ほどのそれほど強くない相手です。

同じ公立高校同士、いい試合が行われそうな予感でした。

 

 

末っ子はこの日もベンチスタート!

やはり初戦の勢いそのままにオーダーは変えずに来ました。

試合前のシートノックを見ていましたが、明らかにチーム力ではこちらの方が上のようにも思えます。

しかし、やってみないと分からないのが高校野球です。

その日のピッチャーの調子やなぜかその日だけ調子のいい選手、審判との相性、天候など試合の流れは全く分かりません。

そしていよいよプレイボール!

 

 

試合開始のサイレント同時に相手の先頭バッターに初球ホームランを打たれる苦しい展開で試合が始まります。

しかし、後続をきちんと押さえ裏の攻撃に入ります。

初回こそ無得点でしたが、2回には2点を簡単に奪い逆転します。

投げてはエースがその後は無失点の好投。

4回以降も毎回得点を重ねていきます。

気が付けば5回が終わり6-1

素晴らしい試合展開です。

そして7回からはエースが降板し3年生の2番手ピッチャーにスイッチしました。

そのタイミングで末っ子はキャッチャーマスクをかぶります。

一戦目と全く同じ展開です。

 

 

末っ子のバッテリーはテンポよく7回を無失点で終えました。

するとその裏、フォアボールとヒットで1点を挙げます。

あと1点入れば7回で7点差のコールドゲームが成立する場面です。

そんななか、ツーアウト1・2塁で末っ子に打席が回ってきました。

ここで気持ちよくヒットでも打ってくれてら、しかも得意の右方向へ転がしてくれたら、コールド勝ちになりそうな雰囲気です。

末っ子がバッターボックスに立ちました。

すると保護者の方々から口々にこんなセリフが飛び出します。

セーフティーバントやるかな?」「いやあいつならやるでしょう!」「絶対やりそう!」

 

実は末っ子はバッティングがあまり得意ではありません。

小柄で長打力があるわけではないので、いつもバッティングコントロールを頼りにヒットをコツコツ狙うタイプです。

そんな末っ子が一番得意なのが「バント」

中学野球部時代には2番で起用され、送りバントの成功率は9割近かったんです。

そんな末っ子が高校の硬式野球でさらにバントに磨きをかけてきました。

絶対的な自信があるようです。

足もそこそこ速いので、練習試合でも必ずバントヒットを成功させていました。

しかし、今回はツーアウトの場面です。

基本的にはしっかりと打つのがセオリーでしょう。

そんな状況で末っ子はやってくれました。

 

 

初球は高めの球をフルスイングしてファール!

ピッチャーや相手チームに打つ気満々の姿を見せます。

続く2球目はボール!

並行カウント、いわゆるバッティングカウントと言われる場面です。

ピッチャーは渾身のストレートを投げてくるはずです。

守る方も後ろに逸らして決勝点を与えるのを防ぐため深めに守っています。

そして3球目!

末っ子はピッチャーのモーションと同時にバントの構えを見せました。

そして一塁方向へ絶妙なバントを決めます。

相手チームの選手はもちろん、球場にいた観客の誰もがこの場面でバントしてくるなんて考えてもいなかったでしょう。

しかし、チームの選手達、保護者達は何度もこんな場面を見てきています。

末っ子は全速力で1塁を駆け抜けセーフになりました。

するとスタンド席は大盛り上がりです。

球場も少しざわついていました。

保護者達からは「あいつやりましたね!」「やっぱりやりやがったな~」「ナイスバント!」「これが野球センスってやつでしょう!」と口々に絶賛してくれました。

この場面、この緊張感、この雰囲気の中できちんとバントを決められるメンタルの強さに私は逆に驚きました。

そして同時に「よく監督さんもこんなプレーを許すな~」と感心してしまいましたね。

満塁となり続くバッターが押し出しのフォアボールを選んで試合は終わりました。

7回 8-1 のコールド勝ちです。

見事3回戦への進出を決めてくれました。

 

 

試合後には校歌が流れるのですが、全く聞いたこともない校歌を2回も聴けるなんて・・・

選手たちの表情も明るく、本当にいいチームに仕上がっていました。

対照的に相手チームの選手たちはしばらく立ち上がれないほど悔しがっていました。

勝と負けるとではこんなにも違う高校球児の最後の夏!

残酷ですがこれが勝負の世界というものです。

 

次の試合は16日(土曜日)

相手は昨年ベスト4の強豪私学!

悔いのない試合をしてほしいと思いながら家路につきました。