親の勝手なエゴで始めさせた末っ子の野球人生!
生まれて最初に握らせたものは野球のボール。
まだ歩けないのに部屋で野球のボールを追いかけさせる毎日。
5歳の時には近くに出来たベースボールアカデミーへ入れ、野球の基礎を徹底的に叩き込みました。
自分が全く野球経験がないので何をさせたらよいのか?全く分からずただひたすらに第三者による指導を受けさせたんです。
小学生の時には私が現在代表を務める少年野球チームに入り主将を務めました。
中学では本格的なボーイズリーグに入ることを一度は考えましたが、「ガチは嫌だ!」「坊主は嫌だ!」という理由から中学の野球部で3年間汗を流しました。
そして迎えた高校生生活。
自分で選んだ高校へ自力で合格し迷うことなく野球部へ入り、気が付けば2年生になっていました。
高校球児にとって一番大切な大会!
それは夏の全国高校野球選手権大会でしょう。
甲子園を目指して高校球児たちが一生懸命プレーする姿は誰もが心を奪われるものです。
末っ子は公立高校へ自ら入りました。
強豪校などでプレーできる実力は無いと自分で分かっているのでしょう。
公立高校でのびのびと野球を続けることを選びました。
末っ子の高校の野球部はもちろん甲子園なんて目指しません!
県内でベスト16に入ることが目標のチームです。
昨年は一回戦で惜しくも敗れてしまい悔しい思いをしました。
末っ子は一年生だった為、出番もなくベンチから応援するだけでした。
あれから1年。
末っ子も含め戦力が格段に上がりなかなかのチームが出来上がった中でいよいよ夏の大会を迎えたわけです。
末っ子はもともと内野手を希望していました。
一番得意なポジションはショートです。
しかし、3年生に末っ子が尊敬する先輩が不動のショート&主将として存在しています。
そこで末っ子は控えの内野手に当初まわる予定でした。
しかし!
末っ子の野球部には正捕手がいませんでした。
中学校からキャッチャーを務めていた2年生の選手がいますが、この子がなかなか上達しません。
本人の希望で一生懸命やってくれているのですが、なかなか思うように正捕手に成長しませんでした。
そこで正捕手に白羽の矢が立ったのが末っ子です。
キャッチャーなどほとんど経験がないのですが、もともと器用なのでそれなりにこなしていました。
春の大会からは正捕手として活躍が期待されていたんです。
しかし、慣れないポジションに転向した影響で自慢の肩を痛めます。
末っ子の身長は160センチ、体重は53キロ程度です。
親に似て小柄な体格でどう考えてもキャッチャー向きではありません。
それでも肩の強さは昔から抜群で、遠投は軽く90メートル、球速も130キロ以上は簡単に出ます。
そんな末っ子の肩を期待した監督は迷わず正捕手に指名しましたが、ノンステップで投げる為、キャッチャーはよく肩を痛めると言います。
案の定4月~5月にかけて肩を壊し、投げられない日々が続いていました。
そんななか、キャッチャーを希望していた同級生が数か月で格段に上手になりました。
末っ子は正捕手を外れ、外野手になったんです。
そんな流れの中で始まった夏の大会。
もちろん3年生にとっては負ければ即引退!という大切な最後の大会です。
その初戦が7月10日に行われました。
前日に配られた背番号は「8」
やはり外野手で出場するようです。
迎えた当日、保護者が集まり「全力で応援しよう!」と団結しています。
コロナが落ち着いた関係で今年は有観客、しかも入場制限は無くなりました。
ブラスバンド&チアの応援も解禁になり、高校野球らしさが戻ったわけです。
声を出しての応援はまだ出来ませんが、2年間静かな中でプレーをしていた選手にとっては待ちに待った最高の環境でしょう。
本来の高校野球の姿に戻りつつある中での2022年夏の大会です。
今年は日本に野球が伝わって150年という節目の年!
マスコミ各社も例年以上の盛り上がりを見せております。
試合開始1時間前に球場へ入りました。
カミさんを含めお母さん方は応援に来てくれている吹奏楽部、ダンス部、OB、保護者会後援会への差し入れの準備に大忙しです。
私たちものぼりや横断幕の準備をしながら試合開始を待ちました。
そしていよいよスタメンの発表!
事前の練習試合通りのスタメンが発表されるはず!
背番号通りのポジションでスタメンが出てくるはず!
保護者誰もがそう思っていました。
しかし!監督はこの日いつもとは違うオーダーを組んできたんです。
保護者の間に「?」マークが飛び交います。
そして末っ子はまさかのベンチスタート!
3年生の保護者も「なぜ?」「どうして?」とざわざわし始めました。
そんな空気感の中で試合が始まります。
初戦の相手も公立高校。
お互いに実力は五分五分でしょう。
ブラスバンド&ダンス部の応援も初めての経験の子ばかり。
異様な雰囲気の中で試合は進んで行きます。
我がチームはテンポよく相手打線を抑え攻撃の機会をうかがいました。
すると4回!打線が爆発し一気に5点のビックイニング!
末っ子の代わりに出場した2年生がきちんと打点を挙げ監督の采配が的中します。
試合は終始リードのまま7回へ!
先発のエースがここでマウンドを降ります。
2番手ピッチャーの交代と同時に末っ子がキャッチャーをして登場です。
背番号8を付けたキャッチャーなんて高校野球ではあまり見かけません。
しかし、普段からバッテリーを組んでいる3年生の2番手ピッチャーとテンポよく相手打線を抑えていきました。
8回には打席が回ってきましたがフォアボールを選び、途中出場の選手としての役割をしっかりと果たしました。
試合はそのまま7-3で終了。
昨年の雪辱を晴らし見事初戦突破です。
観客席は大盛り上がり!
保護者も生徒も大喜びで球場を後にしました。
2回戦は二日後!
こちらも公立高校との対戦。
どっちが勝ってもおかしくない相手だけに気合がますます入ります。
親の心配をよそに、末っ子はいつもと変わらずリラックスムード!
部屋に籠り、お菓子を食べながら携帯とパソコンでいたずらに時間を費やすありさま・・・
肝が据わっているのでしょうか?
末っ子の夏はまだまだ続きます。