「自ら感じ考える」
私がいつも大切にしている言葉です。
今思い返すと、若い時は自分で考えて行動することなんてありませんでした。
誰かに言われたことをやるだけ!
学生時代はもちろんですが、働き出してから数年間はこの繰り返しでした。
自分で何かを感じ考え行動する。さらにそれが自分にとって正しいことなのか?周りの人達にどのように影響するのか?なんて30歳を過ぎるまでできなかった気がします。
月日が流れ、自分で何かを考えて行動し始めるとそこに様々な感情が生まれてきます。
それまでやってきたことの意味。
今置かれている状況や立場。
周りの人間との関係性。
これらがなんとなく見えてきて、とても感性が豊かになったものです。
逆に傷ついたり、上手くいかなくて心が折れそうになることも増えましたが、若い時のそれとは違い、その状況をしっかりと理解し、解決策を一生懸命考えられるようにもなりました。
ある程度の年齢を重ね色々な経験をしていく中で、「自ら感じ考える」ということが少しづつ出来ていくのでしょう。
自分の子供達にも常日頃から言い聞かせていますし、若い人たちにも自分の経験をもとにこの話をすることが多いですが、私の言ってることを理解するまでにはまだまだ相当な歳月がかかるのだと思います。
最近こんなことがありました。
プライベートでとある会社の専務さんと泊まりのゴルフに出かけた時の事です。
前日にホテルにチェックインをし、そのまま食事に出かけました。
すると専務さんは私にこんな話をしてきました。
「うちの会社の従業員はみんな自分たちでアイデアを出して議論をし、誰に言われるわけでもなく仕事をしている!社長はいつも何も言わずにそれを黙~って見ているだけ。報告や連絡、そして相談は全て私のところに来る。だから専務なんて一番大変なポジションなんだよ。」
専務の会社は従業員数100名ほどの小さな会社です。
もちろん従業員数7名の私の会社に比べれば規模も売上高も比べものになりません。
さらに話を聞いていると「従業員はみんな自分で考えて行動している。誰に言われるわけでもなくその一瞬一瞬で何が必要か?何がベストか?みんな自分の心に問いかけながら、感じながら業務をこなしているんだ。」と・・・
その話を聞けば聞くほど羨ましくなります。
どうしたらそんな職場環境になるのでしょうか?
どうしたらそんな従業員に成長するのでしょうか?
どうしたらそんな組織が出来上がるのでしょうか?
私は何度も専務にアドバイスをもらいました。
しかし専務はいつもこう言うんです。
「あのな~おまえにはお前にしか出来ない仕事があるんだろ!他の人間にやらせたくたって出来る人間なんていないんだろ!そんな立場で俺の会社のような組織を目指したって無理があるぞ!今おまえが目指すべきは現場もマネジメントも経理も全てこなすスーパー社長であり続けることだ!」
「もしそれが嫌なら自分の仕事を代わりに出来る人間を育てるか?どこかから見つけてくるしかない!俺のような優秀な人間をな!(笑)」
そう言われるたびに毎回ひどく落ち込んだりもします。
おそらく私は経営者には最もむいていない人間なのでしょう。
自分でもよく分かっていますし、だからこそ日々悩み苦しんでいます。
でも「自ら感じ考える」ことが出来る従業員が一人でも育ってくれたら少しはポジティブになれるんでしょうね。
うちのような小さな会社にすごく優秀な人材は集まりません。
他の会社で上手くいかなかったり活躍出来なかった人間ばかりです。
頭もはっきり言ってよくありません。
偏差値で言えば全員40以下、成績表でもおそらくオール3以上を取った人間はいないでしょう。
学力だけが全てではありませんが、やはり学生時代にやるべきことをしっかりやってきた人間とそうでない人間の差は社会にでると大きくなるばかりです。
そんな従業員に日々成長をしてもらいたくて様々な事を伝えたり、仕事を任せていますが一向に好転しないのは自分の指導力に無さに他なりませんね。
専務は最後にこんなことも言いました。
「今からでも遅くない!他所から優秀な人間をヘッドハンティングしたら?俺も今の社長に口説かれてナンバー2になった人間だ!そんな人材に心当たりはないのか?あるはずだ!覚悟を決めて声を掛けてみたらどうだ!」と・・・
そんな話をされればされるほど余計に悩んでしまいますね。
誰か優秀な人間を迎え入れるにはそれなりの賃金を支払う必要が出てきます。
当然今いる従業員の誰かを解雇しなければいけません。
自分の思い描く理想の会社の為に必要な選択なのかもしれませんが、小心者の私にはその覚悟がまだ残念ながらありません。
経営は安定しているので現状維持でも当面心配はいりません。
でもその先の成長もリスクヘッジも考えていかなければいけません。
毎日色々考えてはやってみて、上手くいかないことは修正してみて、自分の気持ちを整理整頓しては言葉で伝えてみて・・・
しかし、なかなかすぐに結果が伴うわけではありませんね。
まだまだ努力と社長としての実績が足りていないのでしょう。
ちなみに翌日のゴルフでは「おまえはまず仕事よりもゴルフをしっかり出来るようになれ!」としかられました。
人から良く「理想が高すぎる!」とも言われます。
妥協をすることは己に負けること!
妥協をすることはお客さんを裏切ること!
妥協をすることはプロとして一番ダメな事!
妥協をすることは周囲の応援してくれている人を裏切ること!
そんな事を常に考えながらストイックに仕事をしているせいで周囲との乖離が生まれているのも理解しています。
それでも「ま~いっか!」「こんなもんでしょう!」とどこかで自分を許せるようになったら少しは変われるのかもしれませんが、なかなかそれを許そうとする自分が現われてくれませんね。
まだまだたくさん悩み、苦しみ、もがき続ける修行の期間は続きそうです。
それでも「自ら感じ考える」ことで日々成長していけたらと思います。
今日も仕事がんばろ!