ここ数日、愛知県で開催された音楽フェスが袋叩きにあっていますね。
コロナ禍、しかも緊急事態宣言中のさなかに大勢の人を集めてイベントを開催したことに大きな批判が集まっています。
少し前に開催されたフジロックなんかも叩かれていましたが、ま~はっきり言って当たり前でしょう。
ではなぜ叩かれたのか?
本質的な部分であまりはっきりと言わない人が多いので書いてみようと思います。
まず、感染拡大が収まっていないなかで、大勢の人が集まって何かをやることには当然リスクが伴います。
感染対策をきちんとしていても今は大勢の人が集まることがNGです。
でもエンタメ業界はこの1年、まともにライブやイベントが出来ずに困っています。
また、我々観客側も相当なストレスが溜まっています。
「もう我慢できね~」「外国ではすでにやり始めている!」という開き直りにも似た感覚で開催されてしまうのもなんだか納得してしまいます。
ではなぜここまで炎上したのか?
それは正直音楽のジャンルが悪かった!ということでしょう。
今から50年以上前、ロックミュージックは批判の対象でした。
演歌や歌謡曲が全盛の時代です。
ロックなんて聞くのは不良だと言われていた時代もありました。
しかし、エルビスプレスリーやビートルズと言った大スターが現れると、ロックミュージックは一気に市民権を得ます。
70年代に入ると誰もが認める音楽ジャンルになりました。
その後、ロックから派生した「ハードロック」「ヘビーメタル」「デスメタル」などのジャンルが次々に登場します。
奇抜な衣装や髪形で音楽よりもビジュアルが目を引くようなアーティストも多く登場しました。
そんなアーティストたちに嫌悪感を抱く大人も多くいたはずです。
でもその奇抜なファッションや髪形はあくまでステージ上の演出の一部です。
街中をそんな恰好で歩く人たちは決して多くはありませんでした。
非現実的ということでしょう。
しかし、それら派手なアーティストの人気が高まると、それまで批判されてきた正統派ロックミュージックが優等生の音楽としてさらに認められるようになるんです。
あれだけ不良の音楽と揶揄されてきたものも日常の当たり前の音楽になってきます。
今やビートルズなんてクラシックの部類に入りますもんね。
その後様々な多種多様な音楽のジャンルが現れ、我々の趣味嗜好も大きく変化してきました。
そんな中、日本で25年前あたりから流行りだしたのが「R&B」や「HIPHOP」と言ったブラックミュージックです。
すぐに若い人たちの間に広まりました。
また、彼らのファッションは奇抜なものではなく、普段着をだらしなく着るようなスタイルです。
街には彼らのスタイルを真似たストリート系ファッションが溢れました。
そして最近ではタトゥーも当たり前のようにファッションの一部になっています。
いわゆる「アウトロー」なイメージがすぐに定着しました。
さすがにそのような格好をした人が街にあふれると非現現実ではなくなります。
HIPHOPなどは少しヤンチャなイメージに当然なって行くわけです。
また、そのイメージ通り、暴力や犯罪、薬物などで逮捕されるアーティス達もニュースで常に話題になりました。
マスコミも鬼の首を取ったかのように「やっぱりでしょう!ほら!」と報道します。
そしてブラックミュージックへのイメージはどんどん悪くなるんです。
そして今回のイベント騒動です。
正直ここまで批判されるのはその音楽ジャンルが間違いなく影響しています。
出演者を見ても少しアウトローなイメージのアーティストばかりです。
また、そのような音楽を好きな人もそういったイメージを持たれます。
つまり、開催する側も出演する側も観客も世間からはいい目で見られていないという事です。
案の定、感染対策が不十分のままイベントが開催され感染者が出たみたいです。
こんなことが起きればマスコミのかっこうの餌食ですね。
連日多くの批判がイベントに集中するのは必然でしょう。
確かにこの時期に多くの人を集めてイベントを行うこと自体非常識です。
また、そのイベントに参加する側も常識を疑われても仕方がありません。
でも、もしこのイベントが「ミスチル」や「B’Z」などの国民的スターのライブだったらどうだったんでしょうか?
感染対策が不十分だったり感染者が出たとしてもここまで叩かれたんでしょうか?
やはりその音楽に対するイメージって絶対にあると思うんです。
ここ1年エンタメ業界は大変な思いをしています。
アーティストはまだいいんです。
音楽を作ったり配信することで自ら収益を上げることができますから。
しかし、イベント会社や舞台演出をする人、音響、照明、撮影にかかわる人たちはアーティストのライブありきで飯を食っています。
ここ1年は失業状態なのも十分にわかります。
でも困っているのはエンタメ業界だけではありません。
旅行業界なんかも大打撃を受けています。
私のいとこは観光バスの運転手をしていますが悲惨な状況です。
だから困っているのはみんな同じなんです。
生き残るためには様々な知恵や工夫が必要です。
従来のやり方とは違う何かを早く見つけないといけないという事でしょう。
話を戻しますけど、音楽にかかわらずイメージって本当に大切です。
服装や髪形、女性ならメイクでその人のイメージは決まります。
「人は見た目が9割」なんてベストセラーの本がありますが、まさにその通りです。
タトゥーなんていいイメージを持たれることは今の日本ではまだまだありません。
世間の目なんて関係ない!
人からどう思われようが関係ない!
自分は自分だ!
という考え方を否定するつもりはありませんが、いいイメージを持たれた方が得することが多いはずです。
わざわざ悪いイメージを持たれるようなかっこうをすることは大人になればなるほど損します。
ここ数年、価値観の多様性を重視する社会になりつつありますが、日本人はどうしても「右向け右」の人種です。
だから多数決で物事の価値はどうしても決まってしまいます。
今回イベントに出演していたアーティストたちが謝罪していました。
その謝罪を見ていたらなんだか空しくなってしまったのは私だけでしょうか?
アウトローなイメージを大事にしろよ!とさえ思ってしまいましたね。
ちなみに私は保守的な人間なので当たり障りのないファッションですし、当たり障りのない音楽を聴いてます。
イメージは大切にしましょう。