いつも大変お世話になっているお客様から釣ったばかりの新鮮な魚をいただきました。
体調65センチのわらさです。
その日は早朝から釣り船に乗り12匹ほど釣り上げたそうです。
そのうちの1匹をいただいちゃいました。
大学を卒業してすぐに板前になりました。
幼いころからあこがれていた調理師にやっとなれたわけです。
私が大学4年生の時はとにかく就職氷河期と呼ばれる時代でした。
比較的裕福な学生が多かったため、コネクションで就職したり、家業を継ぐ友人が多かったんですが、それでもなかなか就職が決まらない友人も多かったです。
私は就職するなら飲食の世界に!と決めていたので大手の飲食チェーンを展開するような会社を片っ端から受けました。
その中でも、きちんと調理の腕を磨くことが出来て、なおかつ安定している一部上場企業の大手居酒屋チェーンに目を付けました。
すぐに履歴書を送り最終面接までこぎつけました。
実は私、大学を半年間留年しております。
大学一年生の時にバイトと遊びに明け暮れほとんど学校へ行かなかったからです。
一年間で取得した単位はわずか4つ!
当然大学側から退学勧告を受けました。
その書面を見た霊長類最強の母はもちろん激怒しました。
そして「大学辞めるなら今まで払った学費全部返してくれ!今この場で!」と私を叱責しました。
さすがに大学生でしたので殴られるようなことはもうありませんでしたが、その時の母はやはり怖かったです。
すぐに心を入れ替えて学校へ通いだしました。
しかし、一年間ほぼ勉強していなかった私が授業についていけるわけがありません。
また、足りない単位を取得するために毎日1限から6限まで休みなく授業を受ける毎日です。
提出するレポートも追いつきません。
そんな時カミさんに出会いました。
もちろんレポートを書かせるために近づいた所はあります。
そんなだらしない自分にカミさんは根気よく付き合ってくれて、私の単位取得に大きく貢献してくれました。
しかし、一年間のツケは大きかったです。
卒業までに10単位ほど足りず、その単位を取得するために特例として半年間の留年が許可されたんです。
大学卒業の2か月前にカミさんの妊娠が発覚しました。
仕方なく大学在籍中に結婚し籍を入れました。
カミさんは就職が決まっていましたが、辞退をして妻&母になる準備を始めました。
しかし、私はまだ学生です。
就職活動と同時に単位を取得するために学校へ通っていました。
その間はアルバイト代と親からの援助で何とか生活していましたね。
夫になり、まもなく父親にもなる自分は必死に就職先を探しました。
この時の本気モードはすごかったと思います。
だって生活がかかっているんですから!
その本気モードが認められたのか?大手居酒屋チェーンに見事就職が決まりました。
この時はカミさんはもちろん、両親も義理の両親もほんとに喜んでくれました。
そして、半年遅れの卒業と同時に長男が誕生したんです。
しかし、本格的に入社するのは4月ですので半年ほど間隔が空きます。
会社にお願いをしまして、アルバイトですが近くの店舗で働かしてもらうことになりました。
アルバイトとして入りましたが、半年後には社員になる人間です。
店長も調理長も厳しく丁寧に仕事を教えてくれました。
毎日のように本格的な料理を作っていたので日々その腕は上達します。
自分の好きなことを一生懸命できるので本当に充実した日々でしたね。
正社員となった4月からはさらにバリバリ働きました。
そしてこの頃から魚を捌いてお客さんに提供させてもらうようにもなりました。
大きなまな板で大きな魚を捌いている時間はまさに夢が叶った瞬間でしたね。
その後事情があり調理の仕事を辞めました。
詳しくは明日書きます。
調理の世界から今の世界に飛び込んでからも休日には台所に立つ日々が続いています。
根っからの料理好きなんです。
しかし、家で魚を捌いて調理する機会は激減しました。
せいぜいお刺身をブロックで買ってきて切り分けるくらいです。
そうなると腕はどんどん落ちます。
昔は目をつぶってでも出来ていたことが出来なくなるんですね。
仕方がないことですが・・・
お客さんから大きなわらさをいただき、すぐに家に帰って捌いてみました。
従業員みんなに配り分けるためです。
自宅の台所に久々に登場した大きな魚に少し戸惑いながらも丁寧に捌きました。
しかし、やはり腕が鈍っているせいかその仕上がりは満足できるものではありませんでした。
お客さんに出せるレベルのものではないといった方が分かりやすいかもしれません。
少しだけ悲しい気持ちになりましたね。
それでも昔取った杵柄は大事にしたいです。
いつかは自分のお店を出す夢もまだまだ捨ててはいません。
久しぶりに本格的な魚の調理に胸は躍りました。
昔の情熱は今もそのままという事でしょう。
肝心のお刺身のほうですが大変おいしくいただきました。
スタッフ達も皆喜んでくれたことと思います。
家に帰ると子供たちにあらかた食べられてしまっていましたが、それがまた嬉しかったりもします。
従業員からは「なんでこの仕事してるんですかね?もったいない!」とも言われました。
私もそう思いますが、やりたいこととできることは違うので、今は与えられた役割を全うしていきたいと思います。
ごちそうさまでした。