乗客に日本人はいませんでした

ネットニュースを見ていたら久しぶりにこの言葉を目にしました。

乗客に日本人はいませんでした

 

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しばらく目にしていなかったのはコロナ禍で海外に出かける日本人が極端に減ったからでしょう。

本当に久しぶりに目にしたのでなんだか新鮮に感じてしまいました。

 

海外で事故や大きな事件が起きると必ずそのニュースを伝える最後のセリフが「乗客に日本人はいませんでした」ですかね?

まだまだガキンチョの時は「なんだよ!日本人以外の人が亡くなってもいいのかよ?自分の国の人間の事しか考えていなのか?」と疑問に思ったものです。

 

高校生くらいの時になぜそのような報道の仕方をわざわざするのかを知りました。

このセリフはまだまだインターネットや携帯電話が普及していない時代の名残でしょう。

昔は外国で事件や事故が起こると、海外にいる身内や知人の安否を確認するために旅行会社や外務省、現地の大使館などに問い合わせの電話が殺到していたそうです。

特に国際電話は当時は気軽にできるものでもなかったはずです。

そうなることを事前に防ぎ、パニックを引き起こさない為にも「乗客に日本人はいませんでした」というセリフは重要なんだそうです。

今は携帯電話やインターネットで誰でも容易に安否確認が取れますが、それでも未曽有の災害や紛争に巻き込まれた場合や、異国の離れた地にいる人の安否を速やかに伝えるために使われているらしいです。

 

この言葉がネガティブな意味で捉えられるようになった原因は間違いなくこのバンドでしょう!

THE YELLOW MONKEY

1996年に発売された9枚目のシングル「JAM」は大ヒットします。

そして歌詞の一節は多くの人に強い印象を与えました。

 

《外国で飛行機が墜ちました ニュースキャスターは嬉しそうに「乗客に日本人はいませんでした」》

 

当時は大学2年生でした。

この歳は閏年で2月29日に発売されたことも良く覚えています。

そのころ私は「オアシス」「ブラー」「スウェード」「ザ・ヴァーブ」などのUKロックにどハマりしておりました。

もともと父の影響で「ビートルズ」や「ローリングストーンズ」「ザ・フー」などが好きだったこともありUKロックこそが真のロック!とさえ思っていましたね。

そんな時期に大人気だった「THE YELLOW MONKEY」!

サウンドがUKロック寄りだったので非常に好感を持てました。

(ちなみにこの年の5月にイエモンはイギリスで初の海外公演を行っています。イギリスに留学中だったカミさんは友人に誘われてなぜかそのライブを観に行ったそうです。ファンでもなかったので「1曲もわからなかった~」と言っていました。)

 

私も初めて「JAM」を聞いた時には非常に驚きました。

こんな歌詞書いていいの?とさえ思いましたかね。

当時この歌詞に対して様々な意見が飛び交いましたし、ちょっとした社会現象になっていたような気がします。

そのくらいインパクトの強い言葉だったという事でしょう。

 

それ以来、ニュースで「乗客に日本人はいませんでした」という言葉を聞くたびに多くの人が「嫌な言葉」と感じてしまうようになったのかもしれませんね。

もちろんそんな意図はイエモンには無かったと思いますが、今でもネット上でこの言葉が話題になるのですからすごいことです。

 

確かに正確な情報を短い言葉で伝えるためには必要なセリフでしょう。

日本人が含まれていなければ、多くの関係者が余計な心配や詮索をしなくて済みます。

しかし、そこでは尊い命が失われていることも事実です。

出来れば「乗客に日本人はいませんでしたが、現地で被害に遭われた方のご冥福をお祈りします」と言うべきかな?とも思います。

 

今日も世界中のどこかで悲しい事件や事故が起きています。

報道されないだけで多くの尊い命が残念ながら失われています。

ですが、多くの素晴らしい出来事や感動的な話題もたくさんあるはずです。

両方にきちんと目を向けられる人間でありたいと強く思いました。