深夜のアルバイト(コンビニ編)

大学3年生の時、コンビニエンスストアで深夜のアルバイトをしていました。

そのアルバイト先での数あるエピソードをご紹介します。

 

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大学に入ってから勉強もせずアルバイト三昧でした。

学校へは全く行かず、アルバイトをただひたすらする日々・・・

おかげで一年生の時、全く授業を受けずに留年してしまいました。

でも私にとってアルバイトは生きがいそのものでした。

自分でお金を稼ぐことに喜びを感じていたんです。

また、当時お金を必死で貯めてまで欲しいものもありました。

「高級グランドピアノ」です。

300万円くらいのものを本気で欲しいと思っていたのでただひたすら働きました。

しかし!!

お金はあったらあっただけ使ってしまう江戸っ子気質の為、結局遊びに空しく消えていきましたね。

特にパチスロと競馬、麻雀にそのほとんどが消費されてしまいました。

 

大学3年生の時にカミさんが一年間の海外留学をしました。

遠距離恋愛と言えばロマンティックですが、当時からあまり一緒に過ごす機会もなかったので、会えないことに不満やストレスを感じたことはありませんかね。

そんなカミさんの留学先に遊びに行くために(正確には会いに行くために)は旅費が必要です。

そこで私は新しいアルバイトを始めました。

深夜のコンビニエンスストアです。

当時単位が全く足りなかった私は朝9時から夕方5時まで休むことなく授業を受けなければいけませんでした。

しかも週6日です。

そうなるとアルバイトに割ける時間は限られます。

そこで、通学途中にある駅前のコンビニエンスストアで働きだしました。

理由は2つ。

学校が終わったら家に帰ることなくそのままアルバイトに行けること!

朝まで寝ずに働くことで寝坊せずに学校へ行けること!

この2点です。

 

早速面接に行くとすぐに採用されました。

当時深夜のアルバイトさんが全くいなかったみたいです。

勤務時間は夜の10時から翌朝の7時まで。

時給は1250円。

週に4日間の勤務でスタートしました。

 

もともとショートスリーパーでしたので、夕方5時に授業を終えそのまま学校の図書館や喫茶店で仮眠、晩御飯を食べて出勤する毎日が始まります。

このコンビニエンスストアは家族が経営しているFC店でした。

父親、長男、次男が交代で切り盛りする小さなお店です。

パートやアルバイトさんもたくさんいましたが、ほぼオーナーとその息子たちが仕切っていました。

しかし!深夜だけはオーナーも息子たちも全くやりたがりません。

最初の一週間はオーナーの息子が付き添ってくれましたが、その後は一人で切り盛りすることになりました。

夜の10時から翌朝の6時までの8時間、完全にワンオペです。

今では考えられませんが当時は当たり前の光景ですかね?

 

一人なので気楽ではありました。

オーナーや息子たちに監視されることもないですし、いちいちうるさいことを言われることもありません。

しかし、深夜のコンビニのワンオペはそれはそれは重労働でした。

 

夜遅い10時~12時くらいまではお客さんがひっきりなしに来ます。

ただひたすらレジ打ちをするだけです。

駅前だったため電車がホームに到着するたびにお客さんがど~っと押し寄せてきます。

とにかく忙しかったです。

終電の時間になった頃から少しづつお店が落ち着いてきます。

12時半からはレジ前の片づけです。

おでんの容器、肉まんの容器、揚げ物の容器を全て洗浄します。

お客さん対応をしながらですのでこれまた大変です。

2時くらいになると今度は商品が続々と運ばれてきます。

カップ麺やスナック菓子などです。

それらを検品し、ラベラーで値札を張って棚に並べます。

3時半にはお弁当やおにぎりが大量に入荷します。

それも検品して棚に並べます。

この時同時に賞味期限が迫っているものも片づけます。

4時半になると今度は新聞や雑誌が入荷します。

月曜日と水曜日は少年ジャンプや少年サンデーが100冊単位で届くのでそれらを紐からほどいて雑誌コーナーに並べます。

同時にドリンクコーナーの補充も行わなければいけません。

そして6時になるとオーナーが出勤してきてやっとワンオペが終わるんです。

オーナーが出勤してきた時に仕事が残っているとすごく怒られたりもしました。

時給がいいからと安易に始めましたが、想像以上にやることが多くて毎日疲れ果てていました。

それでも学校へそのまま行けたので、おかげで授業をサボることはなかったですかね?

 

そんな深夜のコンビニエンスストアでは様々な出来事がありました。

ある日、一人の女性が顔から血を流してお店に駆け込んできました。

「助けてください!」と涙ながらに訴えるのでとりあえず話を聞きました。

どうやら同棲している彼氏からDVを受けたようです。

すぐに彼氏がお店に乗り込んできました。

そうなると修羅場です。

お互いに罵声を上げながら乱闘が始まりました。

慌てて警察を呼びましたが、店内はぐちゃぐちゃです。

オーナーに電話しても爆睡しているのか?全くつながりません。

警察の方も交番に連れて行けばいいのに、バックヤードで事情聴取を始めるもんですからいい迷惑です。

 

強盗未遂にも遭いました。

深夜3時ごろの出来事です。

入荷した商品を棚に並べていると突然、フルフェイスのヘルメットをかぶった人が私の前に立ちはだかりました。

手にはバットを持っています。

「レジにある金を全部出せ!」と脅されました。

しかし、その強盗!!どう見ても弱そうなんです。

身長は145センチくらい。体はひょろっとしていて声もうわずっていました。

私は冷静に「深夜のレジに金なんてないよ!お金に困っているなら必死で働けや!」と言い返しました。

するとその強盗!「うるせ~早く金を出せ!」と怒鳴ります。

すぐにバックヤードに行きドアの鍵を閉めました。

もちろん警察に通報です。

しかし強盗はまだ店内をウロウロしています。

「こいつ頭おかしいのか」と思いバックヤードを出て再び強盗の前に行きました。

「警察に通報したから!すぐにくるよ!」と告げると次の瞬間!強盗は猛ダッシュでお店から出ていきました。

5分後、駅前で確保されていましたね。

数時間後オーナーに言われた一言は「こういう時はすぐに私に電話しなさい!出なかったら何度もかけなさい!」でした。

さすがにその時私はオーナーにキレましたね。

こっちは命の危険を冒してまであんたの店を守ったっていうのに・・・

 

一番の思い出は冬のあるイベントが発生した時です。

その年の冬、「しし座流星群が夜空を彩る!」というニュースが連日話題になっていました。

私のコンビニエンスストア多摩川沿いにあり、天体ショーを見るには最適な場所だったんです。

いつものように10時からワンオペが始まりました。

しかし、11時を過ぎた頃から信じられないほどのお客さんが押し寄せてきます。

全員が多摩川の河川敷で天体ショーを観に集まっていたんです。

時は11月の下旬。

とても寒い日でした。

30分もするとカイロやホットドリンクが全て売り切れます。

お弁当もすでに完売!

それでも続々と訪れる大量のお客さん。

さすがに一人ではさばけないと思いオーナーに電話しましたが「何とかしろ!」と電話を切られました。

店内には20人以上のお客さんが常にいます。

どんなに頑張っても一人ではどうすることもできません。

お客さんからも「どうなってんの?」「何もないじゃん!」「早くしろよ!」とクレームが入ります。

ただただ「すみません」と言いながら必死でレジを打ちました。

もうだめだ!限界だ!と思った時!!奇跡が起こります。

大学の友人が4人で入店してきたんです。

どうやら彼らも、しし座流星群を観に集まったようです。

友人は大混乱のコンビニを見て大変驚いていました。

すぐに「手伝ってくれ!」とお願いしたら友人は快く引き受けてくれました。

友人2名もまた別のコンビニでアルバイトをしていたので勝手がわかっています。

経験者2名には品出しをお願いしました。

あとの2名には袋詰めを頼みました。

すると15分もしないうちにお店が回り始めます。

5人の見事な連係プレーで1時間ほどで全てのお客さんを捌くことが出来ました。

あの時の奇跡は今でも忘れられませんね。

明け方になると徹夜で天体ショーを楽しんだ人達がまた立ち寄ります。

友人たちのおかげでホットドリンクがしっかり準備できたので飛ぶように売れました。

 

そして朝6時!

オーナーがいつものように偉そうに出勤してきました。

店内にはやり残した仕事があり、少しだけゴチャゴチャしていました。

それを見たオーナーは案の定文句を言いだしました。

すかさず昨晩の様子を話しました。

するとバックヤードで防犯カメラをチェックし始めるではないですか。

そこにはパニック状態の店内と、友人が手伝ってくれた様子が鮮明に映っていました。

この光景を見たオーナーは大激怒です。

友人に勝手に手伝わせたことが気に食わなかったようです。

しかし、私はオーナーに応援要請の電話を入れています。

それを拒否したからこんなことが起きたんです。

しかし、その数分後・・・

オーナーは深夜の売り上げを見てご機嫌になりました。

深夜帯ではここ数年で一番の売り上げだったからです。

「いや~ご苦労だったね~ よく頑張ってくれたよ~」

その言葉を言われた瞬間、私の中で何かがパチンと弾けました。

次の瞬間「今日で辞めます!あんたの下でもう働きたくないので・・・」というセリフが自然と出ました。

これに慌てたのはオーナーです。

週に4~5日も深夜のワンオペをしてくれる人材を失ったら自分が大変な思いをしなければいけないからです。

オーナーは「それじゃ困る!何とか考え直してくれ!」と今度は頭を下げ始めました。

私は断固拒否しましたが、冷静に「ここで辞めたら時給のいいアルバイト先が無くなる」と考えました。

そこでオーナーに無茶な提案をしてみました。

「時給を1250円から1600円にしてください!それなら続けますよ!」と・・・

オーナーはしばらく考えたのちにその要求をのんでくれました。

次の日から時給1600円に見事昇格です。

なんでも言ってみるものですね~。

 

結果的に半年間で100万円ほど稼がしていただきました。

カミさんの留学先にも2回ほど遊びに行けました。

しかし、オーナーへの不満は日々募るばかりでしたので7ヶ月ほどで辞めました。

最後の出勤日に「君ほど傲慢で生意気なアルバイトは今までいなかったぞ!」と言われたので「私もこんないい加減で人をこき使う人間に今後会うことは無いでしょうね」と言って制服を返したという思い出話です。

 

まー今となってはあの7ヶ月の経験が私を大人にしてくれたんだと思うようにしています。

ちなみにそのコンビニは私が辞めた2年後に潰れました。