33歳の時に突然医者から告げられたあの言葉!

「あなた鬱ですね!仕事休んだほうがいいですよ!」

今でも信じられないくらい驚いたあの日のことは忘れないでしょう。

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30歳を過ぎた頃から仕事を本当に頑張りました。

義理父に少しでも恩返しがしたい!という思いと、この仕事で一生懸命食べていくんだ!という信念が芽生えた頃でしょうか。

この頃私は現場の第一線でバリバリ仕事をしていました。

そんな時、同業者同士の交流会がありました。

そこでは勉強会と並行してある企画を合同で行うという課題も出されました。

同じくらいの年齢で同じような立場の方々が一斉に集い、皆さんやる気に満ちている方々ばかりでした。

そんな時に出会ったのがOさん。

Oさんとは年齢も近く職場での立場も同じでした。

色々な話をさせていただきましたが、本当に尊敬できる方でしたね。

そのOさんと企画を一緒に練っている時に私は気が付いたんです。

「自分はなんて実力がない人間なんだろう。世の中にはこんな仕事ができる方がたくさんいるのに・・・やはり自分はこの仕事に向いていないのか?」

 

Oさんはとても勉強熱心な努力家です。

どんな場面でもしっかりと自分の意見を言えますし、幅広い知識を武器に色々なアイデアをジャンジャンぶつけてきます。

その様子に自分はただただ委縮するだけです。

結局数日間の交流で私が学んだのは「自分の実力の無さ」でした。

うちはとても小さな会社です。

いつも同じメンバーと同じように働き、仕事を覚えるには自分で勉強するしかありません。

人材育成のための研修やカリキュラムも存在していませんでした。

だから、先輩に教わる以外に学ぶ機会なんてほぼなかったのです。

それでも自分なりに仕事を覚え多くの作業をこなしてきたつもりでした。

外の人間と全くと言っていいほど関りがなかったのでまさに「井の中の蛙」状態でしたね。

 

そのOさんに刺激されてからは人が変わったようにさらに働きました。

残業も率先して行いましたし、一から勉強するべく様々な本や資料を読み返しました。

しかし、頑張れば頑張るほど自分の実力の無さを痛感する日々が1~2年続いてしまうんです。

また、この仕事についてからもともとメンタルの弱い自分は常に不安との戦いでした。

自分が行った接客や作業にどうしても自信が持てなかったんです。

家に帰りお風呂に入っている時にでも「あの作業きちんとできたよな~」「ネジ締め忘れてないよな~」「あのお客さん帰り際に怪訝な顔してたけど大丈夫かな~」と毎日不安に苛まれていました。

それでも日々仕事は山のように飛び込んできます。

一生懸命作業すればするほど不安も増えていきます。

そんな日々の中で体に異変が起こりました。

 

ある日、家で食事をしていた時のことです。

急に背中がかゆくなったので30センチ定規で背中を掻きむしりました。

それでもかゆみはどんどん強くなります。

我慢できずに上着を脱ぐとカミさんが声を上げました。

「背中に蕁麻疹出来てるよ!」

 

昔からアトピーがひどくアレルギー持ちなので何か変なものを食べてしまったのか?と最初は思いました。

お風呂に入り、かゆみ止めの薬を塗って何とか落ち着きましたが、翌日もその次の日も同じ時間に全く同じ症状が出始めたんです。

一週間もすると仕事中にも症状が出始めました。

背中はもちろん、胸やお腹、お尻や足にまで蕁麻疹が出てくるんです。

幸い首から上には全く症状が出ないのでかゆみと闘いながら仕事は続けました。

どうせすぐ良くなるだろう!と思いながら結局一ヶ月が過ぎました。

 

蕁麻疹の症状と並行して、食用不振、睡眠不足、下痢、嘔吐が連日起こるようにもなりました。

それでも仕事は休むわけにはいきません。

具合が悪いのを隠して日々仕事をこなす毎日です。

すると2か月後・・・

朝起きた時に全身に全く力が入らないことに気が付きました。

力仕事の為この症状は致命的です。

会社に無理して行きましたが全く仕事になりませんでした。

次の日に病院に行って出された診断が「鬱」です。

 

まだまだ33歳。

心も体も充実しているはずの年齢ですが、この時ばかりは毎日が地獄のような日々でしたね。

まさか自分が「鬱」になるなんて思ってもいませんでしたし、会社でパワハラやセクハラ、お客様からカスハラを受けたわけでもありません。

会社に迷惑をかけるわけにはいかないので職場にも家族にもこのことは話せませんでした。

 

毎日アレルギーの薬と抗うつ剤、栄養ドリンクを飲みながら体のダルさと闘う日々が始まりました。

全くやる気が出ず、力も入らない状態での仕事。

「しっかりするんだ俺!」と自分に言い聞かせながら仕事をしましたが、症状はますます悪くなるばかりです。

医者からは仕事を休むように!と強く言われましたが、断固拒否をするしかありませんでした。

しばらくすると「自殺願望」も芽生えます。

このまま生きていても意味がない!いっそのこと死んだ方が楽!もう何もかもなくなってしまえばいい!

そんな感情すら芽生え始めたんです。

完全に廃人寸前でした。

 

「鬱」になった原因はおそらく自分で自分を追い込み過ぎたことだと思います。

出来ない自分を責め続け、その実力の無さに絶望し、そのことを認めたくないからまたがむしゃらに努力をする。

完全にキャパオーバーでしたね。

しかし、そんな自分を最後に奮い立たせてくれたのは幼い子供たちと、死んだ妹の存在でした。

この子達の為にも、若くして死んだ妹の為にもこのままじゃいけない!

強く思えば思うほど症状は悪くなるのですが、毎日ただひたすらそのことだけを思い仕事を続けました。

結局「鬱」との戦いは2年半に及びました。

体重も10キロ落ちました。

35歳にしてはひどく老けた顔にもなりました。

筋力もものすごく落ちてしまいました。

鬱で体調が悪いのか?風邪をひいたのか?も区別がつかないほどでした。

医者からも「完全に治ったわけではない!薬は飲み続けるように!」と言われました。

あの日々を思い出すだけで今でも具合が悪くなります。

そのくらい自分には辛い時期でしたね。

 

鬱の症状がおさまった頃から体力と筋力を取り戻すべくマラソンや山登りを始めました。

10代の時から吸っていた煙草もやめました。

少しづつですが体力も戻り今では健康そのものです。

おかげでバレーボールや草野球を思いっきり出来ています。

それでも時々ですが精神的に弱っている時には当時の記憶が蘇ってきて具合が悪くなることもありますかね。

 

ここ数年、「鬱」になってしまった知り合いをたくさん見てきました。

自分は比較的軽度だったんだと思いますが、そんな方々を見ていると本当に心が痛みます。

最近では治療薬や受け入れてもらえる環境が整いつつありますが、心の病気は本当に厄介です。

「健全なる精神は健全なる身体に宿る!」という言葉がありますが、これからも自分の体と心を常に整えて生活していこうと思います。

もうあんな思いは二度としたくないですね。