3月1日に長男が家を出ました。
大学3年生の時に希望していた会社からすでに内定をもらっていました。
今どきらしいITベンチャー企業です。
その後はインターンシップで働きながら学校へ通う毎日でした。
とは言え、3年生の終わりから4年生にかけてはほとんど授業もなく、学校へ行くこともあまりなかったようなので、毎日内定をもらった会社に通っていましたね。
多い時には週に5日、一日8時間働いていたので、普通の新人サラリーマンと同じ収入があったようです。
卒業に必要な単位もほとんど取得していたようなので、あとは卒業を待つばかりでした。
思い返せばおめでた婚であれよあれよという間に誕生した長男!
幼いころからおとなしい子で、よく食べてよく寝る子でした。
夜泣きなどもなくてあまり苦労した記憶はありません。
幼稚園に入ると自分の事は自分である程度やるようにもなりました。
4歳からはピアノを習わせ毎日真面目に練習もしていましたし、特に本をよく読んだり大人と同じTV番組を見ていたような記憶があります。
小学生になってからはさらに手がかからなくなりました。
黙っていても勉強や宿題はきちんとやります。
学校で行われるテストもほとんどが100点でした。
私が難しい本を読んでいると興味を持って色々と聞いてくることもありました。
小学4年生からは剣道を始めました。
真面目に稽古に打ち込み、あっという間に上達していきます。
小学6年生の時にはすでに親のサポートなどほとんど必要としなくなっていました。
そんな長男に初めて手がかかり始めたのが中学に入学した直後でした。
いわゆる「反抗期」というものに突入しまして、中学の入学祝で買い与えた携帯電話とパソコンで色々な悪さをするように・・・
急に口調が悪くなり、態度もどんどん悪くなります。
学校でもたびたび問題を起こし始めまして、何度か学校へ頭を下げに行ったものです。
それでも勉強だけはしっかりやっていたようで、通知表はオール5でした。
一体誰に似たのか?一族全員が不思議に思ったものです。
中学校では数々の問題を起こしはしましたが、高校受験になると一気にスイッチが入り毎日8時間以上は勉強に明け暮れる日々。
結果的に希望の進学校へ進み、そこでは青春を謳歌しておりました。
剣道部と軽音部、園芸部を兼部していて毎日楽しそうでしたね。
剣道は私との約束通り3段を取得しましたし、買い与えたベースを夢中で弾いてメキメキ上達していきました。
文化祭で行われた何百人も前にしたライブは圧巻の一言でした。
高校卒業後は希望の大学へ進学。
奨学金ももらい、希望に満ちた大学生活が始まるはずでした。
しかし、新型コロナウィルスが長男の楽し時間を奪い始めます。
学校へ行くことが出来なくなり、新しい友達もなかな出来ない日々・・・
そのうち「鬱」になり2年ほど苦しみました。
昔から親にあまり頼ることがなかった長男は、鬱になったことを家族にも話さず一人戦っておりました。
過去に鬱を経験している私はいち早くそのことに気が付きましたが、あ~だこ~だ言ったところで治る病気でもありません。
辛そうに過ごしている息子をただただ見守るしかありませんでしたね。
それでも大学の授業のレポートなどはきちんと提出していたのでしょう。
勉強もそれなりにしていたようでして、気が付いたら卒業していた感じです。
卒業間近になり、いよいよ家を出るための準備を始めました。
ひとり暮らしを始めるために色々と物件を調べ始めたんです。
何度か内見にも行っていたようです。
そんなある日、久しぶりに長男とリビングで飲んでいると「なかなかいい物件が見つからないんだけど、どうしようかな?」なんて言い出しました。
そこで私はすぐに1人の男を紹介します。
もともと私の取引先に新卒で入社したMという男です。
バリバリの体育会系で頭は悪いのですが、礼儀正しくガッツがある奴でした。
私の事を慕ってくれたこともあり、ずいぶんと可愛がったものです。
そんな彼は取引先を2年ほどで退職し、不動産の営業マンになりました。
時々遊びにも来てくれたので、私のソフトバレーボールチームへ紹介し長男や長女、末っ子ともいっしょにバレーもしてくれていました。
そんな彼の連絡先をその場で教えたらなんと!
翌日には3つほどの物件が紹介され、その次の日にはすぐに内見に行っていました。
何度か顔を合わせているだけに話もしやすかったのでしょう。
そしてその翌日にはあっという間に部屋を決め契約を行っておりました。
「やっぱり最後は人脈だね!」なんてのんきに話しておりましたが、私が日々人付き合いをしていることがこうして役に立ったことは親として少し嬉しかったりもします。
都内の会社に通うのに長男が選んだ場所は「川崎」でした。
職場まで電車で25分もあれば行けますし、家賃も都内に比べたら安いという理由からでしょう。
3月に入ったらすぐにでも引っ越しをする!と言って張り切って準備をしていました。
3月1日(水)
この日は私が午前中予定が無かったので、朝早くから会社のバンに荷物を乗せ引っ越しのお手伝いを行いました。
この日初めて長男の新居を見ましたが、すごくオシャレでいい部屋でした。
最新の機能も盛りだくさんで「今どきの賃貸は本当にすごいな~」と妙に感心してしまいます。
引っ越しと言っても荷物はほとんどないので、マットレスや洋服、生活雑貨などを運び入れて2時間ほどで終わりました。
お昼は近くのラーメン屋さんで!
これまた安くて美味しいお店でした。
聞くところによると、この物件を紹介してくれたMも近くに住んでいるらしいので、何かあれば頼れる男がすぐ近くにいるのも親としては安心です。
この日から長男のいない4人での生活が始まりました。
子育てを1人無事に終えた達成感は格別です。
そして・・・
この日から長男の部屋は自分の物になりました。
マイホームを購入したのは今から15年前・・・
4LDKの小さな家でしたので、私の部屋というものは子育てをする上でどうしても用意することが出来ませんでした。
もちろんカミさんの部屋というものもありませんでしたが、専業主婦であるカミさんは自分の過ごしやすいレイアウトに変更していまして・・・
そうなると私の居場所は当然無くなります。
リビングの床か台所くらいでしょうか?
それでもそれは仕方がないこと!と諦めていましたが、長男が家を出る話が出た時に私は家族に公言しました!
「この部屋は俺の部屋にする!」
この時、家族から特に異論は出なかったので自分の部屋になることが正式に決定しました。
住宅ローンを一生懸命働きながら返済すること15年!
やっと念願の「自分の部屋」が手に入ると思うとワクワクしかありません。
既に自分の秘密基地構想は出来上がっております。
着々と準備を進めるとしましょう!