昨日に引き続き山の話題です。
登山を始めてからいろいろな山に登りました。
低い山から高い山までその数は20を超えます。
ただ、私の場合登山は基本的に日帰りです。
なぜなら、休みの日の夕食の当番が私だからです。
以前にも書きましたが、料理が好きなためお休みの日は台所に自然と足が向かいます。
ですので、結婚してからというもの休みの日の夕飯は私が作るルールが自然と成立しました。
1週間のうちカミさんが6日間料理を作るわけですが、その1週間の献立を見ながら、自分や家族に不足しがちな栄養素や食材を考慮してメニューを決めます。
もちろん自分や家族が食べたいものが優先されますが、なるべく気を使いながら夕飯を作ります。
一日中家にいる場合は3食作りますよ!
話がそれましたが、夕飯の支度をするためには山登りに出かけても夕方には帰ってこなければいけません。
その為、日帰りできる山にしか登らないわけです。
そんな私が一番好きな山があります。
「金峰山」です。
金峰山に最初に登ったのは今から7年ほど前です。
比較的短時間で登れて標高が高い山を探していたらヒットしました。
自宅から登山口まで2時間半ほど車を走らせる必要がありますが、深夜の3時に自宅を出発して、日の出とともに登り始めれば昼過ぎには自宅に戻れる私にぴったりの山なんです。
金峰山の標高は2599メートルですが、登山口のある大弛峠駐車場(標高2360メートル)まで車で行けるので初心者でもアクセスしやすい山でもあります。
初めて行った時のドキドキ感と感動は今でも忘れません。
日が昇る前、真っ暗な大弛峠を登っている最中に野生のシカやクマに遭遇したのには本当に驚きました。
5時半に登山口を出発したのですが、他の登山者は誰もいませんでした。
初めて登る山ですので、まだ薄暗い登山道を恐る恐る歩きました。
もちろん一人です。
30分ほどで開けた場所に出ました。
その景色を見た時に全身が震えました。
あたり一面の雲海!
その雲海から綺麗に顔を出す富士山や八ヶ岳。
本当にいい景色で遠くの山々もクッキリ見えました。
山頂に到着すると目の前に現れるのは「五丈岩」です。
自然に積み上げられたとはにわかに信じがたい立派な巨岩がこの山のシンボルです。
山頂には私一人しかおらず金峰山を独り占めしている優越感に浸れました。
片道4.5キロ程度なので3時間もあれば戻ってこれます。
登山の魅力を教えてくれた山でもありますね。
そんな金峰山には感謝したい出来事もあります。
長男が中学3年生の時の出来事です。
長男はピアノを習っていたので中学校で行われる合唱コンクールでピアノの伴奏をかって出ました。
非常にまとまっていたクラスだったようで、コンクールでは優勝を狙うべくクラス一丸となって練習に励んでいたようです。
そして迎えた本番。
私もその様子を現地で観ていたのですが、長男がやらかします。
会場は非常に立派なホールでして、高級なピアノが用意されていました。
そんなピアノを前に長男は気分が高揚したのでしょう。
伴奏に夢中になりテンポが途中で狂い始めました。
もちろん本人は一生懸命演奏していたつもりなんでしょうが、明らかに合唱と伴奏が合わなくなっていました。
それを見ながら「あ~やっちまったな~」とすぐに感じました。
結果的にクラスは思うような結果が残せず惨敗・・・
翌日長男が学校へ行くとクラスメイトから執拗に責められたようです。
そのことに心を痛めた長男は二日間ほど学校へ行けなくなりました。
担任の先生や仲の良い同級生から励ましの言葉は届きましたが、本人はたいそう落ち込んでいた様子でしたね。
さらにカミさんは慰めるでもなく「ケツの穴が小さいんだよお前は~!そんなことで学校を休むなんて情けない!あきれるわ~」と心無い言葉をかけるもんですから余計に事態が深刻になります。
食事もほとんど取らず部屋にこもる長男にはどんな言葉も無意味でした。
そこで私はある提案をしました。
気分転換に出かけないかと・・・
翌日、本人には全く行き先を告げず深夜3時に車に乗せました。
もちろん向かったのは金峰山です。
10月の上旬だったので非常に寒かったのを覚えています。
凍える体を温めるように、二人で会話をすることなく黙々と山頂を目指しました。
その日も非常に良い天気で眺めが最高でした。
そしてその眺めを見た長男の目には自然と涙が・・・
下山時にはスッキリとした表情になっていたのを覚えています。
翌日から長男は何事もなかったように学校へ通い始めました。
金峰山!グッジョブですね。
翌年には家族5人で登りました。
正直運動嫌いのカミさんが登れるか心配でしたが、何とか登頂できました。
山頂で家族5人で撮った写真は今でも私の宝物です。
ちなみにカミさんとのツーショットも撮ったのですが、化粧も落ちボサボサの髪の毛で死んだような顔で写るカミさんの顔が怖くて・・・
こちらは誰にも見せてません。墓場まで持ってきましょう。
金峰山にはたくさんのいい思い出が詰まっています。
登山に興味のある方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?