マスコミュニケーション

母親がとにかく厳しい人でした。

俗にいう「教育ママ」というやつです。

また、養護学校の教員をしていたので恐ろしいほどガッツと体力がある人でした。

幼いころからよく叩かれたり殴られたりもしました。

今考えれば「児童虐待」と思われてもおかしくないほど激しかったです。

それでも子供に対する愛情が人一倍強い人でもありましたので、「愛の鉄拳」だと思い全てを受け入れていました。

反抗期には本当によくバトルしました。

鼻字が出るほど殴られたこともあります。

でも母親に手を挙げたことは私も弟も一度もありません。

反撃したが最後、何をされるかわからないほど怖い人だったからです。

レスリングの吉田沙保里選手が「霊長類最強」なんて言われていますが、私と弟にとっては母が「霊長類最強」だと思っています。

 

f:id:BECHSTEIN:20210810083425j:plain

 

小学4年生の頃、勉強が遅れ始めた時期がありました。

それまでテストでは必ず100点を取っていたのにこの頃から取れなくなってきたんです。

100点以外のテストは毎回母の逆鱗に触れました。

そのたびひどく叱責されたのを今でも覚えています。

「小学校で100点を取れないということは授業をきちんと聞いていない証拠!」

「授業でやったこと、教科書に書いてあることしかテストに出ないのにどういうこと?」「答えは教科書や先生がわざわざ教えてくれてるでしょう!」

とよく怒られたものです。

 

ある日、国語のテストが80点でした。

文章読解の問題でミスをしました。

すると翌日から母がすごいことを私にやらせ始めました。

天声人語の丸写し」です。

 

目の前に当時我が家で取っていた朝日新聞と原稿用紙を突然出してきました。

「今日から毎日この記事を一言一句間違えることなく丸写ししなさい!」と小学4年生にはありえないような課題を突き付けてきたんです。

もちろん逆らうことが出来ず、その日から毎日書き写す作業が始まりました。

聞いたこともない言葉や習ってもいない漢字を、ただひたすらに書き写す毎日です。

当然内容も子供にはわからないものが多く、その作業は退屈そのものでした。

新聞の休刊日は本当にうれしかったです。

しかし、半年くらいやり続けると次第に内容がわかってきます。

そして気が付くと新聞の他の記事にも目を通している自分がそこにいました。

結局この書き写しは中学校でグレるまで3年ほど続きました。

 

こんな経験をした私は新聞を読むのがいつしか習慣になっていました。

中学校の時でも朝と夜には必ず新聞に目を通していましたし、高校に入り電車通学になった際には毎日キヨスクでスポーツ新聞を買っていました。

満員電車の中の狭いスペースで新聞をキレイに折り読むのは得意ですよ!

 

そんな新聞を読む習慣もここ10年ですっかりなくなりました。

媒体がパソコンやスマートフォンに変わったからです。

毎日好きな時に好きな記事を読めるスマホは本当に便利です。

ありとあらゆる情報が入ってくるので毎日賢くなっていくような感覚があります。

しかし、ここ数年のネットニュースはとにかく質が落ちているような気もします。

記者の下調べや予備知識が浅いのが読んですぐにわかる記事も多く見受けられます。

また、絶対に根拠がなかったりデマとわかる記事が溢れています。

もはや記事ではなく好き放題やりたい放題書いている個人のブログと同じです。

 

そんな記事ばかり見ているとマスコミって大丈夫?と思わざるを得ません。

昨日まで絶賛していたと思ったら、今日は手のひらを返したように批判する。

昨日まで白と言っていた人が、急に黒だと言い出す。

批判ばかりで読んでいる人が不愉快になりそうなものを平気で掲載する。

確かな根拠に基づいたデータを堂々と否定する。

本当にやりたい放題です。

 

確かにわが国には「言論の自由」があります。

しかし、何でもかんでもその時の感情や情勢に任せて都合のいいように書くのは記者としてプロ意識に欠けます。

正しい情報を提供する義務や責任感などみじんも感じられません。

しまいには世論を味方につけようという魂胆が見え見えの記事を書く始末・・・

マスコミさんもっとしっかりしてくださいよ!と思う毎日です。

 

最近トヨタの社長さんが面白いことを言っていましたね。

ロバの話です。

 

「ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。
『ロバがいるのに乗らないのか?』と。

また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。『威張った旦那だ』。

奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。『あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない』。

夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。『ロバがかわいそうだ』。

要は『言論の自由』という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。

最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません」

 

この言葉は今私が思っていることを非常にわかりやすく表現してくれています。

非常に上手い例えだと感心してしまいました。

 

簡単に賞賛や批判ができる時代です。

逆に言えば簡単にシカトができる時代とも言えます。

自分に必要のない情報や記事、明らかに誰も得しないものは切り捨てることも容易です。

まさに「何がニュースかは自分たちが決める」ということでしょう。

「沈黙は金」なんて言葉もあります。

ここでムキになって書くとマスコミとやっていることがあまり変わりませんのでそろそろ終わります。

結論から言うとマスコミが嫌いなだけなんでしょう。