草野球を始めて良かったこと

以前も書きましたが、昨年新型コロナウィルスの感染拡大により私の趣味であるプロ野球観戦が出来なくなりました。

大ファンである横浜DeNAベイスターズの試合を、仲間とビールを飲みながら観るのが何よりの楽しみで、あまりに熱中するあまり、横浜スタジアムのシーズンシートを購入しているくらいです。

ここ10年くらいは月に4~5回は観戦に行っていました。

野球観戦を通じて素晴らしい仲間もできましたし、ビジネスにおいても多くの方と交流が持てたものです。

しかし、昨年はまさかの無観客でのシーズンスタート!

その後も入場者数を制限しての開催!

しまいにはアルコール類の提供なし!

仕方がないとはいえ、唯一無二の楽しみを奪われた悲しみは大きかったです。

当然毎日にように「ハマスタに行きたい~」「ストレスたまるわ~」と嘆いておりました。

そんな愚痴をこぼしていたら、ある方より「じゃ~野球を自分でやってみませんか?」と思わぬご提案をいただきました。

早速グラウンドをお借りして野球を始めてみたわけです。

もちろん上手には出来ず、年齢による衰えもあり日々悔しい思いをしているわけですが、一度何かに夢中になるととことんやる性格の為、今では週に最低でも1回、多い時には3回ほど草野球で汗を流しております。

始めた当初はバッティングセンターで100キロの球にかすりもしなかった自分が、今ではジャストミートできるまでに!

フライも始めた当初は全く取れず、顔面に球が当たったこともありましたが、今ではそれなりに取れるようにもなりました。

一年でだいぶ上達したと自分では思っています。

そんな自分が草野球を始めてよかった~と思うことが最近ありました。

 

末っ子には幼いころから野球を習わせております。

自分が出来なかったスポーツを子供に強制的にやらせているわけです。

とは言え末っ子も野球が大好きで高校生になった今でも続けてくれています。

親としては大変ありがたいことです。

 

そんな末っ子は中学校に入るときに悩みました。

シニアやボーイズリーグに入って本格的な野球をやるのか?中学校の部活動で野球をやるのか?を・・・

スポーツに真剣に取り組んでいる子の多くは中学生になった時、クラブチームに入るか?部活動にするか?の選択に悩むものです。

末っ子もクラブチームの体験会に行っていたので、自分はてっきり本格的になるもんだと思っていたのですが、最終的には部活動で活動することを決めました。

この決断がのちに大きな出来事に発展します。

 

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末っ子が入学した中学校の野球部はお世辞にも強いとは言えないチームでした。

過去に大きな実績もないですし部員もそれほど多くありません。

しかし、末っ子の入学と同時に新しい顧問の先生が現れました。

その先生は色々な中学校の野球部でそれなりの成績を残してきた熱血顧問です。

また、末っ子が入部した時にはなぜか新入生が17人も入部したんです。

しかも皆強者ばかり!!

 

新入生のほとんどが少年野球チームの出身者でした。

それなりに強いチームの出身者も多くいました。

皆中学校に入ってからはクラブチームで活動するつもりだったみたいです。

しかし、末っ子と同様に「ガチは嫌だ!」と思ったらしく、部活動を選択したと後から聞きました。

お互いに声を掛け合ったわけではないそうですが、実力者がバンバン部活動に入ってきたわけです。

同級生には小学生の時に区や市でベストナインに選ばれた子もいました。

 

活動をスタートするとすぐに一年生中心のチームになりました。

先輩方を差し置いて一年生が活躍する機会が増えます。

新任で来た熱血顧問も指導に熱が入ります。

毎週のように遠征や練習試合が組まれる日々です。

弱小中学校の野球部なのに毎日泥だらけで末っ子が帰ってきます。

本人からすればゆる~くやりたかったはずなのに・・・当てが外れた感じでしょう。

 

当然チームはすぐに強くなります。

2年生の時には市大会の常連校になり3位まで上り詰めました。

このまま行けば県大会はもちろん、全国も狙えるぞ!と保護者も盛り上がりました。

 

今だから言えますが、顧問の先生はとにかく保護者と呑むのが好きでした。

大きな大会の後には必ず保護者と夜の反省会を行っていました。

日付が変わるまで飲み明かしたこともあります。

おかげで保護者の結束力もどんどん強くなりました。

 

しかし!新型コロナウィルスが彼らの未来を奪いました。

3年生が抜けていよいよこれからが本当の勝負だ!と気合が入っていた矢先の感染拡大です。

高校野球も中止になったように、大きな大会は軒並み中止になってしまいました。

そうなると野球に対する子供たちの情熱も少しづつ薄れていきます。

部活動で結果を残し、高校へ行っても野球を続けたい!とほぼ全部員が思っていたはずなのに、次第に野球の話をすることが少なくなりました。

素人の私から見ても皆上手な子ばかりでしたし、高校でも続ければそれなりの結果を残しそうな子ばかりです。

もちろん熱血顧問は子供たちを鼓舞し続けます。

しかし、新型コロナの影響で子供たちのモチベーションは落ちるばかりです。

結局3年生になってからも大きな大会は開かれず、最後は地域の交流試合という形で引退せざるを得ませんでした。

この悔しさを高校へ行ってぶつけてくれ!と熱血顧問は連呼していましたが、受験勉強が始まるとその声は空しく響くばかりです。

 

そして今年、17人の部員たちは高校生になりました。

しかし、高校へ行っても野球を続けたのは末っ子ともう一人だけでした。

上手な子たちはみな野球をせずに高校生活を送っているようです。

そこに一番落胆したのはあの時盛り上がっていた親たちです。

本人が望んで決めたことですから親がとやかく言うことではないと思いますが、幼いころから子供に野球を習わせていた親たちにとって、子供の決断は受け入れがたいものだったんでしょう。

幼いころから子供と毎週野球を一緒にやり、少年野球チームの時には監督やコーチまで務めていた親たちばかりですから、残念な気持ちは痛いほどわかります。

 

数か月前、一番熱量があったお父さんに会いました。

その子はチームでも一番の実力者で、息子とも仲良しでした。

「うちの子野球続けなかったんです。息子が高校野球をする姿を見るのが私の夢だったんですけどね!残念過ぎて言葉になりません。」と涙ながらに話してくれました。

そして、野球をやらせたいオヤジと辞めたい息子との間で確執すら生まれてしまったようです。

でも最後にその方がこう言いました。

「本人は野球をどこかでやりたい気持ちはあるようです。どこかでやれる場所ないですかね~」

すぐに私はこう言いました「よかったら私のチームの活動に参加しませんか?素人の私が作ったゆる~いチームですから。上手な子が入ってくれたら嬉しいです」と!

 

数週間後・・・

その子と中学の部活動で一緒だったメンバー数人が我がチームに合流しました。

皆毎回、目を輝かせて草野球を本当に楽しんでくれています。

私もまさか末っ子の同級生と野球をやるとは思っていませんでしたが、今では立派なチームメイトです。

保護者の方々からも連日感謝のメッセージが届きます。

「環境は違えど息子が野球をまたやっていることがうれしいです!本当にありがとうございます。」と!

 

自分の趣味の為に始めた草野球ですが、こうして誰かの役に立ったり誰かが喜んでくれているならありがたいことです。

自分でチームを作って本当に良かったとつくづく思います。

今月末には久しぶりに試合があります。

末っ子に予定を確認したところ参加してくれるとのこと。

中学校時代のメンバーと息子、そしてその親が一緒にプレーする貴重な機会です。

これからも頑張って活動を続けたいと思います。