金木犀

私の一番好きな季節がやってきました。

金木犀の季節です。

 

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昔から匂いにとても敏感です。

鼻炎持ちですし、花粉症も毎年ひどくよく鼻が詰まるのですが、昔から嗅覚は他の人よりも優れているから不思議です。

街を歩いている時、飲食店から漂う匂いでどんな料理を提供しているのか?かなり離れた場所からでも看板を見ずにわかります。

3軒隣のおうちの晩御飯のメニューもわかります。

極めつけはシャンプーの香りです。

今では女性と近距離で長時間過ごすことなど全くなくなりましたが、学生時代はクラスメイトの女子が使用しているシャンプーの匂いをほぼ当てられました。

別に近くによってクンクン匂いを嗅いでいた変態ではありませんので誤解なきように。

満員電車で通学していた時は苦痛でした。

中年のオッサンの独特な匂い。

化粧の濃い女性の匂い。

学生たちの汗の匂い。

新聞や雑誌の紙の匂い。

整髪料やシャンプーの匂い。

全ての匂いに鼻が勝手に反応するもんですから面倒です。

 

私が匂いに敏感だと気が付いたのは小学生の時の授業参観でした。

当時、授業参観は今と違い特別なイベントでしたね。

たくさんの保護者がおめかしをして綺麗な格好で教室の後ろで子供たちの様子を見に来るのが一般的でした。

普段はノーメイクで近所を歩いている同級生のおばちゃんたちは、ここぞとばかりにキレイにお化粧をして来るんです。

私の母は化粧なんてものは冠婚葬祭以外ではしないので、いつもスッピン&ジャージで見に来ていたので逆に恥ずかしかった記憶しかありません。

そんな授業参観で私の鼻を刺激するのはやはりお化粧の匂いでした。

普段学校ではあまりしない匂いに逆に特別感を抱いたものです。

でもなんだかその匂いが苦手でして・・・

今でもデパートや百貨店の1階にある化粧品売り場の匂いが苦手です。

けっして嫌な匂いではないのですが鼻がマヒしてしまうような感覚に襲われますね。

 

小学生時代、私が一番好きだった遊び場所がありました。

校庭の隅にあった高鉄棒です。

当時高鉄棒が得意で毎日ぶら下がっていました。

逆上がりはもちろん、高いところでクルクル回って砂場に格好よく着地するのは快感そのもので、同級生達からは超人と呼ばれていました。

その高鉄棒のすぐ後ろに植えてあったのが大きな金木犀の木でした。

毎年9月になるとすごくいい香りがしてきまして、すぐにその匂いの虜になりました。

金木犀の香りに包まれながら友達と楽しい時間を過ごしたのはかけがえのない思い出です。

それからというもの町で金木犀の香りがすると自然とその木に近づくように。

完全な匂いフェチですかね?

 

匂いに敏感なことは面倒なことも多いですが役に立つことも多いです。

板前として働いていた時には食材が傷んでいるのか?傷みかけているのか?味見をしなくても匂いだけで分かりました。

新鮮な食材かそうでないかも匂いで大体わかるんです。

だから調理長にそれなりに重宝がられました。

今の仕事でもそこそこ役に立っています。

車関係の仕事をしているのですが、車から漂う匂いでその車の不調やトラブルが分かります。

エンジン不調の場合はオイルの焦げた匂い。

ラジエーターの不調はラジエーター液の甘い匂い。

オートマオイルの漏れている車はあの独特な匂い。

排気ガスの匂いからでもその車の調子が分かったりもします。

これって結構な才能かもしれませんね?

 

ただ、匂いに敏感なのでお客様の車を預かった際に車の中の匂いに過敏に反応します。

家もそうですが、その人のパーソナルスペースには必ず各々の匂いが存在します。

それが気になるものだったり、そうでないものだったり・・・

人によって感じ方は違うと思いますが、鼻がいい私はどうしても気になってしまうんですよね。

常連のお客さんの車だと目を閉じていても所有者が判別できるくらいです。

時々ストレスに感じてしまうこともしばしば・・・

 

新型コロナウィルスに感染すると味覚や嗅覚が一時的になくなる人がいると聞きます。

私の場合すぐに自覚しそうです。

今のところ鼻は絶好調なので大丈夫という事にしておきましょう。

 

35年ローンで購入した自宅の庭には真っ先に金木犀の木を植えました。

もう13年になりますが3メートルほどの大きな木に成長しています。

そして今年も小さなかわいらしい花が咲き、私の大好きな匂いを漂わせてくれています。

リビングの窓を開けて金木犀の香りを感じながらゆったり過ごす休日は至福の時間ですね。

この癒しの時間を大切にしたいと思います。