脇野沢

母が生まれ育った脇野沢は本当にド田舎です。

幼少期この地で生まれた母は脇野沢で人生の大半を過ごしたわけではありません。

祖父の仕事の関係で小学校高学年から高校までは北海道の室蘭で暮らしていました。

祖父母も実は私が5歳くらいまでは室蘭にいたんです。

だから母は道産子だったりもします。

高校まで室蘭で過ごしそのまま上京!

脇野沢にいたのは数年と聞いています。

 

 

室蘭で生活していた祖父母は祖父の退職を機に再び脇野沢へ戻ってくることになりました。

祖父はそのタイミングで立派な家を建てたんです!

 

 

祖父の家は「一番地」と呼ばれています。

村の玄関口に家がある事からそう呼ばれているようです。

郵便物も「脇野沢一番地」とだけ書けばきちんとつくほど村では有名な家でもあります。

毎年帰省の際には親戚一同がこの家に集まり賑やかな時間を過ごしていました。

 

 

そんな家も10年以上誰も住んでいません。

まだまだ住める状況ですが今回の脇野沢滞在では村で唯一の旅館を利用しました。

 

 

25年ぶりに村について私が最初にしたことは「思い出巡り」でした。

 

 

脇野沢のメインストリート!

 

 

今は子供がいないので閉校しているんだそうです。

 

 

その昔4軒あった村のスーパーも今ではここだけしか残っていません。

 

 

幼児がそもそもいるのでしょうか?

 

 

村に唯一あった信用金庫も2年前に無くなりました。

預金をおろすにはずいぶん離れた場所へ車で行かないといけないようです。

 

 

村の守り神である「権現様」

夏になると盛大にお祭りが行われていて、この敷地に数百人の人が集まっていたものです。

 

 

今は誰も住んでいない親戚の家々

 

 

こんな廃墟もたくさんあります。

 

 

昔よく釣りをした岸壁

 

 

バスも一日数本です。

完全な赤字路線でしょうね。

 

脇野沢唯一の観光地「道の駅」

 

 

この地は「北限のサル」が生息することでも有名です。

野生の猿がたくさん生息していて、村の人口より猿の方が多いほどです。

 

 

少し前まではサルが村の家に侵入し食べ物を勝手に漁ったり、村人を襲うこともありました。

村人もサルを追い払うために色々な策を講じましたが、なにせ「北限のサル」は国の天然記念物!

勝手に殺生することもできません。

他にも野生のニホンカモシカなども生息していて、村全体がサファリパークのような雰囲気の時もありました。

今では村人がどんどん減ってサルも餌が無くなったのか?

村におりてくることもなくなりつつあるようです。

 

 

 

夜は親戚の家で賑やかに酒盛りが行われました。

母の従兄弟に当たる親戚の家です。

幼少期は帰省のたびにこの家に遊びに行き楽しく過ごした思い出の場所です。

 

 

アワビ・ホタテ・アイナメ・地元の新鮮な魚介類と美味しいお酒をたくさんいただくことが出来ました。

 

ちなみに地元では「てって」と呼ばれる食べ物をご存じでしょうか?

カワハギを乾燥させたものですが、幼少期はこれがおやつでしたね。

 

 

35年ぶりに食べました。

 

翌日には納骨と法要を行いました。

 

 

いつからあるお墓なのか?誰が眠っているのか?

母はもちろん親戚にもわからないほど古いお墓です。

 

 

母が「血のつながっていない人も入っているんじゃないの?」なんて言っていましたね。

 

 

ここで驚きの儀式が始まります。

納骨と言えばお墓に骨壺ごと納めるのでしょうが、このお墓にはそんなスペースはありません。

墓石の前に30センチ四方の穴が開いていて石の蓋があるだけです。

蓋を開けると、土の上に先祖代々の骨がそのまま収められています。

この穴に親戚が順番に手で祖母の骨を入れていくんです。

 

 

素手で遺骨を拾いながら納めるなんて・・・

もう何度もこんな光景を見ている自分には違和感はありませんが、他の人が見たら「うそでしょ?」なんて思うんでしょうね。

 

 

最後は初孫である私が代表して祖母の遺骨を全て穴に納めました。

やっと祖父と同じお墓に入れてあげることが出来ましたね。

 

無事に納骨が終わったら今度は親戚で大切な話をしていきます。

 

 

もうこの村には祖父母はもちろん、母も叔父さんも戻ることはありません。

長男である叔父は数年前に他界したので母と母の弟の叔父とでこのお墓と残された立派なお家をどうするのか?話し合いが行われました。

 

祖父は墓はもちろん、家を数件、山まで持っています。

ド田舎の資産価値のない土地や建物ばかりです。

固定資産税も安いので持っていて大きな負担にはなりませんが、いつまでも放置するわけにもいきません。

売るとしても買い手などそうそう見つかるわけもありません。

資産価値は1円でしょう。

観光客もほとんど来ないような場所、村には老人しかいません。

こんな場所に残されたお墓と家と山!

結局どうするかの結論は来年の一周忌まで持ち越しとなりましたが、問題は山積みですね。

私の人脈を使って何とかならないものか?これから模索する日々が続きます。

 

 

25年ぶりに訪れた脇野沢。

たくさんの楽しい思い出が詰まった場所に後ろ髪を引かれる思いで翌日には帰路につきました。

また来年来る予定です。

 

 

 

脇野沢のシンボル「鯛島」