「やりたいこと」と「できること」

ここ数年仕事の悩みや愚痴をよく聞かされています。

もともと人と話すのが好きですし、それを仕事にもしているので自然とコミュニケーション能力が身についていると自負しております。

だから話し好きの方々が自然と私のところに寄ってくると思われます。

仕事の悩みや愚痴の多くはお酒の席で聞かされるのですが、真剣に耳を傾けていると酔うに酔えなかったりするので、「もはやお酒はいらないのでは?」とも思うものです。

(愚痴を話している方は気持ちが良いのでしょうが・・・)

なぜそのような相談や愚痴を多く聞かされてしまうのかというと、どうやら周りからは「仕事が順調にいっている実業家」のように思われているようです。

確かに会社の業績はおかげさまで悪くはありませんし、趣味が多いので日頃からアクティブに活動している分「人生を謳歌」していると思われても仕方がないと思いますが、私自身はそこまで充実した生活だとは思っておりません。

しかし、周りの方からそのように映るのであればそれはそれで悪くないかな?とも思います。

 

さて、今日のテーマは「やりたいこと」と「できること」です。

 

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これは今から10年以上前に非常に頭の良い方から教わったロジックなのですが、仕事をする上で非常に参考になったので復習もかねて書いていきます。

最近ではTVなどでも紹介されているのでご存じの方も多いと思います。

 

まず、日々の生活や仕事が充実している方は「やりたいことができている」状態なんだと思います。

図でいうと1番の方々です。

逆に日々ストレスがたまったり悩みが多かったりする方は「やりたいけどできない」状態です。

図でいうと4番の方々です。

では「やりたくないしできないし!」という3番の方はどうでしょうか?

実はこの状態で仕事をしている方などほとんどいません。

なぜならこの時点でお金を稼ぐことなんてできないからです。

では自分はどこの位置に属しているのか?

自信を持って言えるのは「やりたくないけどできている」状態です。

2番に属します。

「やりたくないけどできる」という状態は、一見非常にストレスがたまりそうに思えますが、実は冷静になってみると案外楽だったりします。

 

実は私、昔から料理が大好きで将来は「料理人になる!」と豪語しておりました。

両親が共働きだったため日々帰りが遅く、小学校の低学年の頃から晩御飯の支度をさせられていました。弟と妹の分の夕飯を作って食べさせ両親の帰りを待つこともありました。そんな私の料理を父母弟妹は「ほんとおいしい」と食べてくれるのでそれがうれしくて気が付けば「俺は天才料理人だ!」と勘違いしながら日々夕飯を作っていました。

(きっと母の策略だと今になって思います)

小学校の卒業文集にも「将来の夢は一流の料理人」と自慢げに描いたものです。

その後学生時代に行ったアルバイトのほとんどが「飲食店の調理場」!

日々料理をする生活が15年以上続いておりました。

そして大学を卒業後「俺は板前になる!」と決心。

大手居酒屋チェーンに就職し日々料理の腕を磨いていたのですが・・・

諸事情があり料理の世界から離れることになってしまいました。

(諸事情についてはまたあらためてお話します)

そして飛び込んだのが今のお仕事!!

車関係の仕事です。

免許は持っているものの、ボンネットも開けたことなければ車の名前、工具の種類、部品の名前も知らない自分がある日突然飛び込まざるを得なかったのです。

もちろん最初は「やりたくないし出来ない」という3番の状態でしたが、すでに子供も生まれ一家の大黒柱として頑張るしかなかったため夢中で仕事を日々こなしました。

すると数年後・・・

なぜか仕事が板につき始めました。

すごい複雑な整備は出来ませんが販売を通じてお客様からの信頼も多く得ることができました。

そして気が付けば社長職に!!

こんなことってある?って今でもず~と感じていますし、20年以上勤めていながらいまだに「やりたくない仕事」だと思っています。

だって本当は料理人になりたかったんですから!!

 

私に仕事の悩みや愚痴を言いに来る方の多くは圧倒的に「やりたいけどできない」4番の方々です。

仕事に対してはある程度高い意識があります。

しかし能力が追い付かず思うようにいかなかったり、組織のルールや慣習が弊害となっいて仕事が上手くいかないようです。

そんな方々を見ていると「自分って案外恵まれているかも?」と思わざるを得ません。
だってやりたくないけどできているんですもん。

「できない」って一番つらいですよね?

仕事だけでなく「勉強」「運動」「恋愛」などなど・・・

特に「恋愛」はうまくできないからみんな悩み苦しみますよね?

だから「できない」を続けるには強靭なメンタルと忍耐力が必要なんです。

逆に「できる」を続けるのは私のようなダメ人間でも簡単にできるものです。

だからアドバイスの最後に「やりたいことはいったん置いておいてできることが何か?一緒に考えてみないか?」と毎回必ず言って終わります。

上からものをいう立場ではないですが、自分はこのことに気が付いてから非常に気持ちが楽になったものです。

 

最近「やりたいことができる」人にも多く出会いました。

それを仕事にできている方は本当にうらやましいです。

でもそのような方々は類稀な才能があったりするのでしょう!

話していて「独特の感性だな~」と思うことが多いですから・・・

 

「やりたくないけどできる」

ネガティブにとらえがちですが実は凡人には非常に大切な要素です。

これからもできることだけを追い求めていければと思います。

 

それでもいつかは「一流の料理人」になりたいと常に夢見ている中年オヤジの独り言でした。