トラウマ

トラウマって言葉あまり好きじゃないです。

だってトラウマって耳障りのいい言葉を使って言い訳しているだけだから!!

それを克服したんなら美談になるんでしょうが・・・

でもトラウマって誰にでもあるものだと思います。

もちろん私にもあります。

だから今日は一生懸命言い訳して終わろうと思います。

 

人前で何かを表現するのが本当に苦手です!

仕事柄大勢の人の前で話したり、お付き合いの関係で人前で歌ったりすることが多いのですが本当に本当に苦手です。

昔から極度のあがり症というのもありますが思春期のある体験がトラウマになっていると考えられます。

 

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実は4歳からピアノを習っていました。

習っていたというより習わされていたと言った方が正解かもしれません。

4歳の時実家の10軒隣のお家にピアノ教室がオープンしました。

先生は当時音大生でアルバイト感覚で自宅でお教室を始めたそうです。

そこに目を付けた我が共働きの両親。

これはいい託児所代わりになるのでは?と考え、私の意志は完全に無視されお教室通いが始まりました。

偶然にも幼馴染も同時期に通い始めたものですからピアノを習いに行くっていうよりも保育園や学童クラブに通うような感覚だったのを今でも覚えています。

レッスンの日、家の前で泥だらけで遊んでいるとサンダル姿の先生が「もうレッスンの時間でしょう!早く支度して来なさい!」なんてよく連行されていましたね。

しまいには泥だらけの手で先生自慢の高級ピアノ(推定500万)を弾き始めるもんだから白い鍵盤が茶色になって「も~いい加減にしてよ~」なんて怒られていたのも今になっては良い思い出です。

そんな優しい先生の家での居心地が良かったからか、気が付けば20歳までレッスンに通っていました。辞め時がわからず最後は先生に卒業宣告されまして・・・

そんなピアノ教室では毎年立派なホールで発表会が行われていました。

中学生くらいになるとそれなりに弾けるようになり、クラシックの有名曲を披露する機会も増えました。

そして華やかな発表会で自分の人生を大きく左右する出来事が起きました。

中学3年の夏です。

高校生になったらピアノを辞めようと考えていたこともあり、この時の発表会では難易度の高い「ショパン」の曲を弾くことにしました。

「革命」「エチュード」「幻想即興曲」などいくつかの候補がありましたが受験勉強に忙しく比較的難易度の低い「別れのワルツ」を弾くことにしました。

早速練習を開始し2ヶ月ほどでほぼ完ぺきに弾けるように!

本番の直前でも鍵盤を見なくてもミスタッチがないほど自信を持っていました。

そして始まった発表会!!

小さい子たちの演奏から始まり30番目くらいで私の出番が来ました。

しかも!先生の余計な計らいでこの日の「オオトリ」!

たくさんのお客さんの拍手に迎えられ演奏が始まりました。

素晴らしいホール!

しかも世界に数台しかないという高級ピアノ!

そしてこの教室に通う生徒さんとその保護者が全員見ている!

こんな素晴らしいシチュエーションがあるでしょうか?

本当に気持ちよく弾いていたその時です!!

突然頭が真っ白になって指が止まりました。

忘れもしません。

33小節目を弾き終えたあたりです。

自分が今何をしているのか?何の曲を弾いているのか?ここはどこ?

完全に意識が飛んだのを鮮明に覚えています。

10秒~15秒くらいの沈黙がありまして、すぐに客席がざわつき始めました。

舞台袖から「一回戻ってらっしゃい!」と先生が声をかけてくれて初めて今自分が置かれている状況が理解できました。

仕方がなく一度舞台から捌けてもう一度やり直すことに!!

結果的にきちんと最後まで演奏できたのですが、後で録音した演奏を聞きなおしたところ聞くに堪えないお粗末なものでした。

その悔しさもあり結局辞めないで続けた節もありますが、その出来事がトラウマとなって30年近く私を苦しめています。

それ以来人前で何かを披露するたびに手が震えたり、極度の緊張状態に陥るのです。

カラオケが歌える飲み屋で歌を歌わされても未だに「まじか~」「勘弁してよ~」と心の中で叫ぶ自分がいます。

それでもそこはもういい年の大人です。

大人の対応で何とか日々修羅場を潜り抜けておりますが、やはり苦手意識は克服できないままです。

きっと一生無理なんだと諦めています。

本当は一度でいいから自信を持って人前で堂々と何かを披露して耳をつんざくような拍手をもらってみたいのですが・・・

残念ながらスポットライトを浴びることは今後もないでしょうね?

トラウマの話、いや言い訳の話でした。