最近気が付いたんです!
「あと数年したらカミさんと二人の時間がどんどん増えるな~」と・・・
結婚して22年。
おめでた婚でしたので子供がいない二人きりの生活なんて数か月しかありませんでした。
付き合っている頃もお互いに気が向いた時に会う程度で、いつも一緒にいたことなんてあまりなかったんです。
子供が生まれてからはますます二人で過ごす時間が無くなります。
よく子供を実家に預けて夫婦でお出かけする!なんて聞きますが、基本的にカミさんは子供を預けたり、子供が目の届かないところに行かせるのがあまり好きではなかったようでして・・・
一度だけどうしても観たい映画があり、私の実家に子供を預け3時間だけ「ロードオブザリング」という映画を観に行きましたが、その時でさえ子供の事をしきりに気にしていたのをよく覚えています。
お互いに映画の内容なんてほとんど覚えていませんかね。
そんな生活を22年も続けてきました。
もちろん子供が学校へ行っている間に、二人で買い物に行ったり食事に行ったりはしますが、それ自体は子供中心の生活の一部ですので二人きりの時間とは言えません。
いつも子供中心の生活でした。
しかし、長男も大学4年生になり来年の春には内定をもらった会社への就職が決まっています。
娘も年子ですのでその翌年には社会人になるでしょう。
末っ子も高校2年生ですから、大学生にでもなれば家に帰ってこないことも増えるはずです。
地方の大学へ進学したらそれこそ我が家にはカミさんと私だけになります。
そんな現実的なシチュエーションが最近容易に想像できるようになってきました。
あと数年したら二人きりの生活が現実として始まるわけです。
そのことに気が付いてからというもの、やたらと二人の生活を意識した準備をするようになりました。
もともと行動を共にしない自由人の二人がどうしたらお互いにストレスなく生活できるのか?
考えれば考えるほど頭が痛くなるものです。
そこで二人で外出する機会を少しづつですが増やすことにしたんです。
丁度コロナも落ち着いてきたこのタイミングで!
まずは手始めに結婚記念日のお祝い。
3月に22年目にして初めて二人きりでお祝いの食事をしました。
そして今月上旬に行った「ゆず」のコンサート!
さらに!
今回は観たい映画があったので二人で映画館へ出かけてみました。
二人きりで映画を観るなんて18年ぶりでしょうか?
観た映画は「トップガン マーベリック」
1986年に大ヒットした映画の続編です。
この映画でトム・クルーズは大スターになりました。
当時私はまだ8歳!
今のように吹き替え版などまだほとんどない時代です。
映画館も当時は適当な入れ替え制で自由席でした。
いい席で観るためには前の回の上映が終わる頃に入ってラストシーンを立ち見をしたのち、人が入れ替わるタイミングで着席するスタイルが一般的でした。
幸いなことに私の地元にはそれなりの映画館が電車で10分ほどのところにあったので、よく観に行ったものです。
今では信じられないかもしれませんが、当時は映画館でタバコが普通に吸えて座席に灰皿までありました。
そんな空気の悪い場所で小学生が映画を観るなんて・・・
今思えばとんでもない話です。
ちなみにトップガンは映画館ではなくレンタルビデオで父親と観ました。
当時普及したばかりのVHSで画質の悪いブラウン管の小さなテレビで観たものです。
吹き替え版の字幕を国語力がまだ乏しいなか、一生懸命目で追ったものです。
それでも「すげ~かっこいい!」と思いながら観ていたことは覚えています。
さてそんな「トップガン」の続編でもある「トップガン マーベリック」!
非常に楽しみにしていたのですが、カミさんはそれほど興味がないようです。
それでも「一緒に観に行かない?」と勇気を振り絞って聞いてみたんです。
すると「どうしようかな~」という答えが返ってきました。
カミさんの「どうしようかな?」「考える」「マジで~」は「行ってもいいよ」というOKサインです。
昔からお互い素直ではないのでこんなやり取りでいつも物事が決まります。
早速チケットを事前にネットで取りました。
この日は午前中に仕事があったのですが午後からは時間に余裕がありました。
支度をして映画館のあるショッピングモールへ出かけます。
少し遅めの昼食を取ったのですが、正直あまりおいしくなくて・・・
テンションが若干下がりました。
上映の10分前に映画館に入り発券!
座席は見やすいように後方の通路側にしました。
200人ほど入る大きなシアターでの上映でしたが、平日ということもあり40~50名ほどしかお客さんがいませんでしたかね。
そしていよいよ上映開始です。
懐かしいテーマソングと共に映画が始まりました。
映像も音も大変すばらしく迫力があります。
どんどん映画の世界に飲み込まれて行きました。
すると突然!
カミさんが席を立ってどこかに行ってしまいました。
30分ほど経った時でしょうか?
私はその時こう思いました。
「ひょっとしたら子供たちに何かトラブルでもあったのか?」
「部活動中にけがをしたとか?具合が悪くなったとか・・・」
鞄と携帯を握りしめて劇場を足早に出ていくカミさん!
何も言わずに席を離れたので何があったのか?を聞く暇はありませんでした。
「もし何かあれば携帯に連絡してくるだろう。」と思い携帯電話をポケットに入れなおして私はそのまま映画を観ていました。
しかし!携帯に連絡は一切ありません。
そしてカミさんは一向に戻ってきません。
心配になりながらも「このまま映画を途中であきらめるのはもったいない!」と思い私は見続けました。
それでもカミさんの行方が気になって映画になかなか集中出来ません。
クライマックスになりようやく集中出来ましたが、どこかで「あいつどうした?」との思いが込み上げてきます。
結局カミさんは席に戻ることなく映画は終わりました。
エンドロールが流れ終わり場内に明かりが灯ります。
私はそれとなくスクリーン前方を見ました。
すると!信じられない光景を目にします。
なんと最前列にカミさんが座っていたんです。
最前列だったからか、すこしふんぞり返りながら・・・
すぐにカミさんのもとへ行きました。
「どうした?」と聞くととんでもない返事が返ってきます。
「途中でお腹の調子が悪くなってトイレに行ってたわ。後方の席まで戻るの面倒くさいし、またトイレに行きたくなったら困るから一番前で観てた!」と・・・
理由はなんとなく理解しましたが、それにしても凄い行動力です。
観やすいようにわざわざ後方の席を取ったのに・・・
勇気を振り絞って二人で映画を観に来たのに・・・
18年ぶりの映画館デートだったのに・・・
結論から言えば、二人で観ていた時間は30分ほどだったんです。
それにしてもカミさんの男前っぷりに私は驚きました。
なかなかこんな発想に至る人はいないのではないでしょうか?
空いているとは言え、自分が購入した席以外で鑑賞するのは本来であればルール違反です。
しかし、途中で他のお客さんの視線を遮りながら何度もトイレに行くのも迷惑な話です。
どちらかを天秤にかけたら誰も座っていないガラガラの最前列で!という結論に至ったのでしょう。
ある意味賢明な判断なのかもしれません。
こうして18年ぶりの夫婦二人での映画鑑賞は終わりました。
「トム・クルーズはやっぱりかっこいいね!」なんて帰りの車の中で話していましたが、こっちは戻ってこないカミさんをどれだけ心配したことか・・・
ま~長い付き合いなのであまり驚くこともありませんがね。
今回の件で私は完全に悟りました。
カミさんと無理に出かけるのはもうやめようと!
お互いに気の向いた時に、時間がある時に、自然な流れで行動を共にすればいいんです。
慣れないことをしてもストレスが溜まるだけでしょう。
いい勉強になった映画鑑賞でした。