私の好物はズバリ!「ホルモン」です。
昔から「珍味」と呼ばれるものが好きでした。
父親はビールが好きでよく「柿ピー」を食べていました。
4歳くらいからは私も「柿ピー」を一緒になって食べていましたね。
他にも「白子ポン酢」とか「なまこ酢」「ピータン」「イカの塩辛」なんかを好んで食べていたのを覚えています。
そんな私が大学生の時、本格的な「ホルモン」に出会いました。
きっかけは東京競馬場で意気投合した、見ず知らずのおじさんに連れて行ってもらった飲み屋さんです。
若い人が絶対に足を踏み入れないような汚いお店でした。
店内は白煙とニンニクの匂いが充満していて、10分もいれば洋服がものすごく臭くなるような場所です。
その日競馬で30万ほど勝った!というおじさんは私に「ホルモン」をごちそうしてくれました。
その時衝撃を受けました!
世の中にはこんなに旨いものがあるのか?と・・・
その日から「ホルモン」が大好きになりまして、20年以上日々おいしいホルモン屋さんを探し回っています。
ちなみにそのおじさんとの出会いが面白いんです。
その日、競馬場内の馬券発券機で購入しようとしたら、1枚の馬券が機械の上に無造作に置いてあったんです。
しかも1万円ほどツッコんでありました。
私はとりあえずその馬券を手に取り自分の馬券を買いました。
「きっと誰かが取り忘れたのかな?ラッキー!とりあえず当たってたらそのままもらっちゃえ!」と普通に思いましたね。
購入から10分後、第6レースが始まりました。
私の馬券は見事大外れ!3000円が消えていきました。
しかし!券売機で拾った馬券はなんと大当たり!
10万ほどの払い戻しになっていたんです。
その馬券を見て私は少し怖くなりました。
この馬券をひょっとしたら探し回っている人がいるかもしれない!
すごく後悔しているに違いない!
そう思った次の瞬間、私は馬券を拾った券売機の近くへ行きました。
すると50代後半のおじさんが券売機の周りをウロウロしています。
券売機のすき間や足元を一生懸命物色しているではありませんか?
私は思いました。「間違いなくこのおじさんだ!」と。
勇気を振り絞ってそのおじさんに声をかけました。
「先程券売機で馬券を取り忘れませんでしたか?」と・・・
するとおじさんは私の顔を鋭い目で睨みつけたんです。
次の瞬間「おまえなんでそのことを知っているんだ!」と低いドスの利いた声で私の顔をさらに睨みつけました。
私は素直に「これおじさんの馬券ですか?さっき拾ったんですがどうしたらいいのか分からなくて持っていました。お返しします」と言いました。
するとおじさんの表情が一気に明るくなりました。
そして「ありがと~今日はなんてツイていない日だと思ったけど・・・よかった~」と私の手を強く握り返してくれました。
するとおじさんは「払い戻しのうちいくらかは君に払うよ!お礼として」と言いだしたんです。
もちろんそんなお金を受け取るわけにはいきません。
私は冗談で「よかったらおいしいものをごちそうしてくださいよ!」と言いました。
すると「よし!今日のレースが終わったら連れて行くよ!それまでよかったらおじさんと一緒に競馬を楽しもう」という嘘のような返事が返ってきたんです。
結局その後の7~12レースまで見ず知らずのおじさんと競馬を楽しんだわけです。
ちなみにこの日のおじさんは絶好調でして、私もおじさんの予想に乗ったおかげで5万ほどプラスになりましたね。
話をもとに戻しますが、この時から本当にホルモンが大好きになりました。
焼肉に行っても私は「カルビ」や「ロース」なんてほとんど食べません。
頼むのはもっぱら「ホルモン」ばかりですね。
「上ミノ」「シマチュウ」「マルチュウ」「ハツモト」「センマイ刺し」がお気に入りだったりします。
ただやはり大衆焼肉店の「ホルモン」はイマイチです。
「ホルモン専門店」には敵いませんね。
そんな「ホルモン」が大好きな私は、周りから「ホルモン番長」なんて呼ばれています。
そして同じホルモン好きが集まる「ホルモン番長の会」というものが数年前に結成されました。
その会でいつも利用するホルモン専門店がまた凄いんです。
本当に新鮮な「ホルモン」を使っているので一切臭みがなく、どんどん食べられるんですよね。
最初にそのお店を訪れて以来すっかりファンになってしまいました。
先週いつものように「番長の会」が行われました。
絶品のホルモンとお酒を楽しんでいる中、悲しいお知らせを耳にします。
「3月末を持ちまして閉店いたします。長年のご愛顧に感謝申し上げます。」
なんと、私が愛してやまないホルモン専門店が今月いっぱいで閉店しちゃうんです。
本当に残念でなりません。
老夫婦がひっそりと営んでいるお店でしたので仕方がない事ではありますが、これには大変ショックを受けましたね。
今月中にもう一度行く予定でいますので、最後に絶品ホルモンの味を舌にしっかりと焼き付けておこうと思います。
ちなみに次の番長の会の場所を現在探索中です。
近場ではなかなか見つかりませんが、また素晴らしいお店が見つかった時のワクワク感もたまらないでしょうね。
今はまさに出会いと別れの季節です。
新しい絶品ホルモンと出会えることを信じて仕事も頑張ります。
以上「ホルモン愛」でした。