昨日はひな祭りでした。
我が家には20歳になった娘がおりますが、さすがにひな祭りのお祝いなどはもうありませんね。
昨夜も11時過ぎまで帰ってきませんでした。
そんな我が家のひな祭りですが、私は毎年きちんとひな人形を飾っております。
カミさんは「もう出さなくていいでしょう!部屋が狭くなるし結局だらだら飾りっぱなしでなかなか片づけないんだから!」と毎年同じセリフを口にします。
それでも私は毎年きちんと飾ります。
ひな人形にはそれなりの思い入れがあるからです。
今から35年ほど前、若くして亡くなった妹が1歳の頃、両親は妹の為にひな人形を買うことを決意しました。
我が家にとって待望の女の子!
貧しい家庭で育った母にとって、立派なひな人形を家に飾ることが憧れだったと後で聞きました。
家族全員で電車に乗り東京の「浅草橋」へ行ったのを覚えています。
冬の寒い日でした。
両親は私と弟のことなど全く構う様子もなく、黙々とひな人形を選んでいました。
何件ものお店を回り最終的に決めるまでに3時間ほどかかったんです。
その間、小学生の私は妹と弟の面倒を一生懸命みていましたね。
両親は結局、狭い我が家には明らかに似合わない7段飾りのひな人形を購入しました。
数日後自宅にトラックで運ばれた大きな箱!
父と母と私で7段のひな人形を組み立てたものです。
お店で見るよりもそれははるかに大きく感じました。
まだ小さかったのでお内裏様とお雛様が鎮座する最上段には手が届かなかったものです。
それとは別に両親は「木目込み」の雛人形まで購入しました。
後で聞いたのですがそちらの方が高かったようです。
それ以降、毎年我が家ではきちんとひな人形を飾り、盛大にお祝いをするようになりました。
妹も毎年それを楽しみにしていて家族そろって楽しい時間を過ごしたものです。
妹が難病にかかり入院生活を始めてからも雛人形は毎年きちんと飾られました。
妹が亡くなってからも母は形見と言わんばかりに毎年飾り続けていましたね。
今でもその雛人形は大切に保管されています。
そんな家で育った私ですから、雛人形をきちんと飾ることは私にとって当たり前の事なんです。
我が家の雛人形も娘が生まれた翌年にカミさんと買いに行きました。
安月給の我が家にはとても高級なものは買えませんでしたが、私の母が「きちんとしたものを買いなさい!」と少しだけ援助をしてくれたので、それなりに立派なものを購入したんです。
カミさんは幼いころからガラスケースに入ったコンパクトなひな人形しか飾ったことがないらしく、立派なひな人形が家に飾られることに当時は喜びを感じていたみたいです。
その雛人形を購入した時に私はある誓いをたてました。
「娘が20歳になるまでは毎年必ず飾り続ける!」と・・・
月日が流れ2022年の3月3日。
娘は1月で20歳になりました。
そして今年も雛人形を私はきちんと飾りました。
カミさんからは「飾るの今年で最後だね!見納めだ~」なんて言われました。
20年飾り続けた我が家の雛人形。
今年もその美しい人形を見ながらおいしいお酒を飲んでいました。
この雛人形を買った時の事、これまでの娘の成長を思い出して少しだけおセンチな気持ちになるものです。
来年以降も結局私は飾るのかもしれません。
娘が結婚して家を出て行く時に初めて供養するか、一緒に持っていくかになるでしょう。
思い出がたくさん詰まった我が家の雛人形です。