「JITTERIN'JINN」
ジッタリンジンと読みます。
私が中学生の時に猛烈にハマったバンドです。
最近はこのバンド名を口にしてもわからない人が多いかもしれません。
しかし、私の中でも今でもオンリーワンの素晴らしいバンドです。
「JITTERIN'JINN」との出会いはTV番組でした。
通称「イカ天」と呼ばれた伝説のオーディション番組です。
毎週様々な素人バンドがその演奏技術とパフォーマンスを競い合う刺激的な内容でした。
当時私は小学6年生。
非常に厳しい家庭に育ちましたが、なぜか次の日の学校がない土曜日だけは夜更かしが認められていました。
両親も土曜日の夜はTVを見ながら遅くまでのんびり過ごしていた記憶があります。
その土曜日の深夜12時30分から始まる「イカ天」をとにかく夢中で観てました。
先日も書きましたが小学生の時に音楽のすばらしさに出会い様々なアーティストに興味を持ちました。
だから「イカ天」で登場するアーティスト達の粗削りな音楽にも自然と興味が湧いていたんだと思います。
「イカ天」からは本当に多くの有名バンドがデビューをしています。
「BIGIN」「FLYING KIDS」「たま」「BLANKEY JET CITY」「RABBIT」「カブキロックス」「人間椅子」「PINK SAPPHIRE」などなど・・・
90年代にブームを巻き起こしたバンドばかりです。
そして「JITTERIN'JINN」もまたイカ天で強烈なデビューを飾ったバンドでもあります。
今でもはっきりと覚えていますが、その日の「イカ天」は父と観ていました。
音楽好きの父もまた「イカ天」のファンだったのです。
そしてなんて読むのか全く分からないバンドが突然現れました。
チェックの衣装を着ていて非常にかわいらしかったのを覚えています。
そして演奏が始まるとそのサウンドに驚きました。
のちにメジャーデビュー曲となる「エブリディ」を披露したのですが、2ビートのシンプルなドラムにEpiphone の真っ赤なギターから響く独特なピックアップ音、そして淡々としたリズムを刻むベース。
そのサウンドにすぐに心奪われました。
さらにボーカルの春川玲子の声も印象的でした。
ビブラートのないまっすぐな歌声と若干不安定な音程がこのバンドの曲を引き立てています。
父と観ていましたが「間違いなくチャンピオンになるぞこのバンド!」と声を上げるほどでした。
結局この回の放送で「JITTERIN'JINN」は6代目キングになります。
その後すぐにデビューし中高生を中心に瞬く間に人気が出ました。
翌年には「プレゼント」「にちようび」「夏祭り」などの代表曲がブレイクしTVやラジオでも聞こえてくるようになりました。
翌年、父が「JITTERIN'JINN」のライブチケットを取ってくれました。
渋谷公会堂で行われたライブです。
当時私は中学1年生。
この時、生まれて初めて大きな箱で行われるライブに行きました。
2階席の後ろのほうでしたがライブが始まると彼らの演奏にとにかく夢中になりました。
生演奏を聴いて鳥肌が立ちっぱなしだったのを今でも覚えています。
後にも先にも一番記憶に残っているライブであることは間違いありませんね。
彼らのサウンドに夢中になった理由の一つ「破矢ジンタ」のギターテクニックのすごさがあります。
上手いギタリストは多くいますが、私の中では3本の指に入るほど尊敬しているギタリストです。
淡々と演奏しているように見えますが、正確にリズムを刻むピッキング技術、ひずみがほとんどないドライなサウンドを巧みに使う技術、そして早く正確に弾く技術。
素人の私でもすごい技術で演奏しているのが良くわかりました。
自宅においてあるギターでコピーを何度も試みましたが、とてもじゃないですが真似できませんでしたね。
本当に上手なギタリストだと思います。
12月には横浜アリーナで行われたライブにも連れて行ってもらいました。
今でも衝撃的だったのはそのライブチケットの価格です。
確か2500円程度だったと記憶しています。
中高生に人気のバンドだけに価格も安く設定していたのでしょう。
満員の横浜アリーナでのライブもまた思い出深いものでした。
しばらくすると「JITTERIN'JINN」はメディアから姿を消します。
ブームが終わったという事なんでしょうが、大好きだっただけに見る機会が減ったことは非常に悲しかったです。
92年にはベスト盤が発売され、私の中でもそのままフェードアウトしていきました。
しかし、2000年に奇跡が起こります。
ガールズバンド「Whiteberry」が名曲「夏祭り」をカバーして大ヒットしました。
TVで初めてそのカバーを聞いた時には涙が出るくらい嬉しかったです。
その後は人気ゲーム「太鼓の達人」などでも使用され今では幅広い世代が知っている名曲でしょう。
そしてその頃から再び「JITTERIN'JINN」を聴きなおすようにもなりました。
当時のCDを引っ張り出してきてあの頃のように何度も何度も聴きましたね。
私にはやはりかけがえのないバンドです。
最近はインディーズで活動しているようで、YouTubeでも観ることができます。
だいぶ歳をとったはずですが、あの頃と変わらない若々しさがそこにはありました。
今でもひっそりと応援をしております。
そしていつかまた大きな箱でライブをしてほしいと切に願います。