セミ

ある日を境に虫が苦手になりました。

幼少期には季節関係なく虫網と虫かごを持って様々な虫を捕獲しては飼い殺していたのに・・・

家でゴキブリが出たり、蛾が部屋に侵入して母が大騒ぎしていても率先して捕獲&捕殺していたはずなのに・・・

カブトムシやクワガタに夢中になっていたはずなのに・・・

気がついたら虫が本当に苦手になっていました。

今では家の中に虫が入ってくると自分が一番大騒ぎしているくらいです。

 

仕事も外での作業が多い為、虫との戦いは避けられません。

小さな虫ならまだ我慢できますが、大きな蛾や蜂なんか近くに来ようものなら真っ先に手を止めて身の安全を図ります。

すぐにスタッフが追い払ってくれるのですが、そのたびに「なんだこいつ」という顔をされるくらいです。

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2021年の夏がやってきました。

虫たちが最も活発に活動する季節です。

そして一番の天敵が今年も大量発生しています。

セミ」です。

 

セミの鳴き声を聞くだけで寒気がするくらい苦手です。

擬態して木に止まっているセミは発見が遅れます。

突然目の前に飛んできたりもします。

一番厄介なのは生きているのか?死んでいるのか?全く分からない状態で道路にひっくり返っているヤツです。

少し振動を与えると突然、ビックリするくらいの勢いで暴れたりします。

またセミの厄介なところは飛ぶスピードと飛行の軌道に予測がつかないところです。

ハエや蛾、蜂ならばなんとなく一定のスピードで、飛んでいきそうな方向がわかるのですが、セミの場合とにかく不規則な動きをします。

だから回避するのも非常に困難な相手なんです。

セミが苦手な人って絶対に多いと思います。

 

そんなセミに対してなぜか理由もなく怒りが沸いてきたりもします。

特別何か被害を被っているわけではないのですが、本当にイライラさせてくる生き物です。

一体何の役割があってこの世に存在してるのでしょうか?

蜂や蝶は植物の受粉に一役かっています。

ミミズは土をキレイにしてくれます。

カブトムシやクワガタはその容姿から子供たちを喜ばせます。

じゃ~セミって何か特別な役割を持ってこの世に存在してるのか?

 

セミには自然界において、わかりやすい特別な役割はありません。

セミは1週間で死ぬと言われていますが、実際には1ヶ月ほど生きています。

短命というイメージがありますが、幼虫からカウントすると比較的長生きな生命体です。

今年北米で大量発生した17年セミなんて昆虫類の中でも群を抜いた生命体です。

オスはメスを呼び寄せるためにやかましく鳴いているので、メスは羽音を出せません。

ちなみにセミの羽音はものすごいボリュームで、高速走行中の車の車内に響き渡る音に匹敵するレベルです。

あの小さな体であれだけのボリュームを出すセミを、人間と同じ大きさにしたら、数10キロ先まで届く、鼓膜が破れるくらいのボリュームになります。

ちなみにセミの鳴き声は周波数が4000Hz以上の為、携帯電話ではその鳴き声を拾うことは出来ません。

 

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の言葉に従い、私なりにセミについて調べました。

そして調べていくうちに残念ですが、セミの存在意義を見つけてしまいました。

 

この世の生命体の多くは何らかの意味を持って生まれてきているはずです。

食物連鎖という言葉があるように、どの生物もどこかで連鎖し自然を守っています。

ではセミはどうなのか?

あんな見るからにマズそうなセミですが、カラスやノラネコは食べるようです。

しかも高たんぱく低脂肪!!

一部の地域では人間が食する習慣があったりもするのだとか・・・

また、セミの死骸は植物の立派な養分になるそうです。

17年に一度大量発生する17年ゼミは毎回大量の死骸が木の下に転がります。

そんな木の年輪を調べると17年ゼミが大量発生した年だけ年輪が大きくなっているそうです。

 

人間にとっては無用の生き物ですが、自然化においてはしっかりとした役割があるということでしょうか?

少しだけ存在を認める気になってきました。

しかし!やはり嫌いなものは嫌いです。

なんの存在意義もない奴だ!と思いたくなります。

 

しかし、このブログを書いていたら学生時代に生物の授業で習ったことを鮮明に思い出しました。

あらゆる生物は、実は何かの為に存在しているわけではない。

環境にたまたま適応した生物が、たまたまその時々で存在しているだけ。

そして存在しているうちに何らかの生態系に組み込まれ、次第に共存関係が生まれ、どこかで役に立っているという構図が出来上がるだけ。

では人間はどうなんでしょう?

人間同士であれば誰かの役に立つこと、誰かの為になることをするのが美徳ですが、地球の為に、生物の為に役に立つ行動はあまりしません。

自分たちの都合のいいように自然を破壊し、自分たちの都合のいいように多くの生物を殺します。

人間は死んでも火葬されて植物の養分になることはありませんし、食物連鎖の頂点に君臨しているくらいです。

こんな授業を受けたことを覚えています。

 

ということは・・・

人間こそ生物界において最も存在意義がない生き物になります。

大嫌いなセミのほうがまだましなのか?

だんだんネガティブになってきたのでそろそろ終わります。

自分の存在意義を大嫌いなセミから考えさせられるとは・・・

私は本当に身勝手な人間ですね。