未熟な経営者の独り言

夏季賞与の計算を先程終えました。

じつに2時間以上悩んでしまいました。

 

 

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零細企業の社長をしております。

少ない従業員で小さなお店を毎日運営していて、私も現場の第一線で日々汗を流しております。

実はこの会社を作ったのは義理の父です。

妻と結婚をし、一度は料理人を目指して就職しましたがその後挫折・・・

すでに子供もいたので次の仕事をゆっくりと探している余裕などなかったため、義理父が経営する会社を手伝うことになりました。

しばらくしたら別の職場を探そうと思いながら数年働きましたが、義理父や家族の「がんばれ!」という無言のプレッシャーに負け、腹をくくって一生懸命働きました。

月日は流れ、義理の父も70歳を超え引退。

バトンを渡され今日に至ります。

 

従業員として働いていた時から共にするスタッフが3人おります。

自分が社長になってから採用したスタッフは2名です。

本当に小さな会社ですのでスタッフとは毎日顔を合わせます。

互いにたわいもない話を毎日しています。

家族や子供のこともよく知っています。

だからこその悩みがあるのです。

お給料のこと・・・

 

義理父には本当に感謝しています。

何もできない自分を信じて会社に迎え入れてくれました。

当時の従業員からは「なんであんな何もできない人間を入れた?義理の息子相手じゃやりにくいし将来こんな奴の下じゃ働けない!」とさんざん言われたことでしょう。

若かった自分はそんなことはお構いなしに毎日ダラダラと仕事をしていました。

大きなミスをした時も黙って尻拭いをしてくれました。

そんな義理父の気持ちなんかお構いなしに「いつかは別の仕事に!」と浮ついた気持ちで10年以上過ごした自分を今は本当に恥ずかしく思います。

義理父がある程度歳を取り、体の調子を崩し始めたころからは心を入れ替えがむしゃらに働くようになりました。

義理父に「やっとその気になったか!がんばれ!」と言われた時はなんだかうれしく思ったものです。

何もないところから会社を立ち上げ、様々な苦労や悩みを乗り越えながら経営をしてきた義理父を本当に尊敬するばかりです。

だからバトンを渡されてからは毎日苦悩の連続です。

経理のこと、資金繰りのこと、従業員のこと、お客様のこと・・・

ノイローゼになるんじゃないか?というくらい悩みは尽きません。

20年近く一緒に働いていて義理父の仕事ぶりや気持ちを1ミリも理解しようとしなかった自分に腹が立ったりもします。

「その立場にならないとわからんよ」と言っていた義理父の言葉が今まさに理解できるわけです。

 

そんな未熟な経営者ですが何とかギリギリのところで踏ん張りながら、渡されたバトンを落とさないよう頑張っているつもりです。

でもどうしても悩みは尽きません。

そして一番の悩みはやはりお給料のことです。

 

お給料を貰う立場から渡す立場になった今、あらためて自分の未熟さを痛感します。

従業員にはなるべくいい暮らしをしてもらいたいです。

小さな会社ですが「ここで働いて良かった!」と思ってもらえるよう労働環境には日々気を使っています。

自分が後ろ向きな気持ちで10年以上働いたからこそ「同じような気持ちで働いてほしくない!」という気持ちが強いのだと思います。

少ない人数で運営しているので休みは多くありません。

お店ですので勝手な都合で休むわけにもいきません。

営業時間がそのまま拘束時間になります。

外仕事が多い為暑い日も寒い日も体にムチ打たなければいけません。

会社の業績は堅実な経営を続けてきた父のおかげで決して悪くはありませんが、ものすごくいいわけでもありません。

商売柄めちゃくちゃ儲かることなんて決してありません。

だから大手企業や勢いのある会社のような待遇はスタッフにはとても与えられません。

私も一般的な企業の社長と比較しても報酬はかなり少ないと思います。

でもなるべく利益は従業員に還元したいと日々思っているからこそ悩むのです。

スタッフとの距離が近い為、みんなの生活はなんとなく把握しています。

家族や子供のこともよくしっているつもりです。

そしてみんな本当にいいやつなんです。

 

頭が悪い人間もいますし、私の言うことを聞かない人間もいます。

何年たってもなかなか仕事をおぼえない人間もいます。

時々非常識な行動をとる人間もいます。

しかし、お客さんに対しては皆その期待に一生懸命応えようとします。

人間的には本当にいいやつばかりなんです。

 

だから給与計算をする時にどうしても情が入ってしまうのです。

スタッフの家族にはなるべくいい生活をしてもらいたい!

奥さんにはなるべくオシャレをしてもらいたい!

子供にはなるべくおいしいものを食べてもらいたい!

休みが少ない分、なるべく家族で素敵な場へ出かけてもらいたい!

でも使える経費には限りがあります。

情に流されれば会社が立ち行かなくなります。

もちろん自分の生活や家族のことも考えなければばりません。

考えれば考えるほど計算できなくなるんです。

 

先程悩みに悩み夏季賞与の金額を決めました。

今会社が出せる精いっぱいの額です。

それでも手にしたスタッフは「こんな程度か?」「もう少し評価してくれよ!」「社長が給料取りすぎなんじゃね~」と思っていることでしょう。

自分がどんなに考えても所詮はそう思うものです。

だって数年前の自分がそうでしたから・・・

「その立場にならないとわからないよ!」という義理父の言葉が本当によくわかりますね。

 

もう少し出せるよう経営者としてさらなる努力をしなければいけません。

大切なスタッフとその家族の生活を少しでも良くするために今日も気持ちを引き締めて仕事したいと思います。

未熟な経営者の独り言でした。